研究概要 |
βアドレナリン受容体(β受容体)は3つのサブタイプ(β1,β2,β3)からなっており、サブタイプ間で調節機構が異なっていることが報告されている。 β2受容体をHEK293細胞に一過性に発現させアゴニストで刺激すると、受容体は細胞内の小胞に移行した。この過程をインターナリゼーションという。しかし、β1受容体を発現させアゴニストで刺激しても、細胞表面にとどまったままであった。最近、受容体キナーゼによる受容体のリン酸化およびそれに続くβアレスチンの結合がインターナリゼーションを促進することが報告されたので、β1受容体とともに受容体キナーゼとβアレスチンを発現させた。しかしながら、この場合もインターナリゼーションは促進されなかった。また、β1受容体から細胞内のプロリンに富む領域を除去するとインターナリゼーションが起こるようになると報告されていることから、プロリン領域除去の変異β1受容体を調べた。しかし、アゴニスト刺激は何らインターナリゼーションを引き起こさなかった。 酵母の2-ハイブリッド法によりβ2受容体のカルボキシ末端と相互作用するタンパク質のクローニングを試みいくつかの候補遺伝子をクローニングした。そのうちの一つはCl^-チャネルをコードしているCLCPであった。CLCPの局在をGreen Fluorescent Protein(GFP)を付加させた融合タンパク質を発現させ調べると、細胞内の小胞、細胞膜、細胞核での発現が確認された。次にβ2受容体のどの部分と相互作用するのか調べたところ、カルボキシ末端より10アミノ酸の部分にCLCPとの相互作用部位が同定できた。 Cl^-チャネルはインターナライズした小胞のpH勾配の安定化に寄与していると考えられている。従って、今後β2受容体のカルボキシ末端によるCl^-チャネルの活性化などを測定する必要がある。
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