1.サリドマイド関係 サリドマイドのTNF-α生産調節作用を指標としてより活性に優れるニューサリドマイドとして、各種フタルイミド誘導体をデザインし、合成した。その中に、サリドマイドにはるかに優れたTNF-α生産調節活性を有するものを見いだし、その構造活性相関を解析した。得られたニューサリドマイドはいずれもサリドマイドと同様、2方向性のTNF-α生産調節活性を持つものであったが、電子状態の変化と光学活性が2方向性に大きく関与していることが構造活性相関から見てとれた。これを元に更なる構造展開を図り、2方向性を完全に分離すること、すなわち、純粋にTNF-αの生産抑制作用のみを示す化合物と、純粋にTNF-αの生産促進作用のみを示す化合物各々を創製することに成功した。これらの化合物をアフィニティゲルヘと展開し、当初想定していた複数種の薬物受容体の侯補蛋白としての規範を満足する蛋白の存在を確認することができた。分子作用機構解析の一環としてTNF-α mRNA 量に及ぼす影響を解析しつつあるが、不思議なことに、TNF-αの生産抑制系でも促進系でも、いずれの場合にもmRNA量は増加していることを示す結果が得られつつある。ニューサリドマイドの更なる構造展開により、強力な非ステロイド型アンドロゲンアンタゴニストを創製することに成功した。 2.レチノイド関係 ジアゼピン安息香酸誘導体にレチノイドシナ-ジストとしての活性を見いだし、その構造活性相関を解析した。これらのシナ-ジストがRAR・RXRヘテロダイマー選択的なRXRアゴニストであることを示すことができた。また、カルギキシル基を有さないチアゾリン系のレチノイドを創製することに成功した。
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