本研究の目的は、光合成機能発現におけるカルシウムシグナル発生の分子機構を明らかにする一環として、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のCa^<2+>流入欠損株(midl変異株)の致死性を相補する高等植物のcDNAをスクリーニングし、その機能を解析することである。本重点領域研究により、出芽酵母のmidl変異株の条件致死性を部分的に相補するcDNAを、シロイヌナズナ実生のcDNAライブラリーから6個、タバコ培養細胞BY-2のcDNAライブラリーから6個を単離することができた。それらの塩基配列を決定した結果、シロイヌナズナ実生のcDNAライブラリー由来のクローンには、Ca^<2+>チャネルのcDNAは含まれていなかったが、低分子量Gタンパク質の一種であるADP-リボシレーションファクター1(ARF1)のアラビドプシスホモログ、UDP-グルコースエピメラーゼ、セルラーゼ、グルタルレドキシン(superoxide scavenging system)および機能不明のタンパク質(2種)のcDNAが含まれていた。また、タバコ培養細胞BY-2のcDNAライブラリーからは、β-チューブリン、UDP-グルコースエピメラーゼ、システインプロテアーゼインヒビター(シスタチン)、25SrRNA(2個)および機能不明のタンパク質(1種)のcDNAが得られた。来年度も同様のスクリーニングを継続し、目的の完遂を目指す。
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