S-S結合形成を介する蛋白質フォールディングへのPDIファミリー蛋白質の関与について、Bovine pancreatic trypsin inhibitor(BPTI)の3対のS-S結合形成とフォールディングを、PDI、ERp72、ERp61がそれぞれどのように促進するかをHPLCで解析した。反応全体についてはPDIが最も促進し、ERp72やERp61の促進作用はこれに比較して弱いが、PDIは中間型から自然型への反応を顕著に促進するのに対し、ERp72やERp61はむしろ還元変性型から中間型への反応を顕著に促進することが明らかとなった。また、PDIでは2種類の中間型の移行反応を経た自然型の形成促進が認められたが、ERp72はこの移行反応を促進できないことが明らかとなった。細胞内でこれらの蛋白質が機能を補い合っている可能性が示唆された。このほか、ERp72のペプチド結合能とシャペロン機能について解析するため、ERp72のdelution mutantsを作製して、ペプチド結合部位の同定を試みている。
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