研究概要 |
我々は免疫抑制剤FK506によりIkBαの分解を介してNF-kBの活性化が起こることを明らかにしたが(J.Clin.Invest.,1996)、その機序としてFK506によるFKBPのpeptidylpropyl-cis trans isonerase(PPI)活性の阻害によるERでの蛋白のfoldingの阻害が考えられていることから、PPI活性は阻害するが、そのほかの活性はないFK506誘導体について検討した結果、FK506によるNF-kBの活性化の機序として、FKBPのPPI活性の阻害によるものではないと結論された。さらに、NF-kBの活性化には、そのインヒビターであるIkBαおよびβのN末部のセリン残基の燐酸化に依存した蛋白分解が必須であると従来考えられているが、我々はFK506/FKBPによるNF-kBの活性化では、このN末部セリン残基の燐酸化に依存しない、おそらくはチロシン残基がかんよする新しいシグナル伝達経路によりIkBαおよびβの分解とNF-kBの活性化が起こることを明らかにすることができた。また、様々なプロテアーゼ阻害剤を使い、FK506/FKBPによるこの新しいIkBαおよびβ′の分解とNF-kBの活性化には従来指摘されていたプロテアソームが関与していることを確かめた(投稿中)。
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