C末端アンカー型小胞体膜タンパク質(シトクロムb5)およびミトコンドリア外膜タンパク質(モノアミン酸化酵素、外膜シトクロムb5)のターゲット膜への特異的挿入に関与する因子(膜挿入可能な構造を保証する因子)、の検索とそれらの作用機構およびターゲティングシグナルと因子との分子認識機構を解明することを目標としている。 本年度は、次の2点について解析した。 1.シトクロムb5のターゲティングシグナル部と特異的に結合する細胞質タンパク質をシトクロムb5アフィニティクロマトグラフィーにより検索し、35kDおよび100kDの2つのタンパク質が候補として得られた。現在、構造解析のため両者を精製中である。 2.ターゲティングシグナルに見られる「一見共通性のない曖昧な構造を厳密な情報として受け取る」機構の解明のモデル系としてミトコンドリアタンパク質前駆体のプロセシング酵素(ミトコンドリアプロセシングペプチダーゼ)の基質認識機構を酵素と基質の両面から解析した。酵素には数個の基質認識に与る部位があり、基質はそれらに対応する構造のうち、切断部位付近の必須な構造と別の部分の一つ以上の部位に対する構造をもっていればよく、そのことが基質の多様性と酵素の厳密性を与えていることが示唆された。
|