研究概要 |
1.細胞内におけるHsp40およびHsp70の機能を明らかにするために、ルシフェラーゼを発現している細胞(中国ハムスターO23)にヒトHsp70およびヒトHsp40遺伝子を導入し、熱ショックによるルシフェラーゼの失活および失活後の活性回復に対するHsp40とHsp70の効果を検討した。ルシフェラーゼの失活に対しては、Hsp40単独では全く防護効果がみられないが、Hsp70またはHsp70+Hsp40ではほぼ同程度の防護効果がみられた。またルシフェラーゼの失活後の活性回復に対しては、Hsp40単独ではやはり効果がなく、Hsp70単独でもわずかながら効果がみられるが、Hsp70+Hsp40ではさらに強い回復効果が認められた。これは細胞内におけるHsp40/Hsp70の分子シャペロン活性によるものと考えられる。 2.ヒトHsp40遺伝子とクローニングしてその遺伝子構造を決定するとともに発現制御機構を明らかにした。ヒトHsp40遺伝子は2つのイントロンに分断された3つのエキソンから構成されており、第一エキソンは進化的によく保存されているJドメインをコードしている。プロモーター領域は転写に必要ないくつかの基本的な塩基配列のほかに、熱ショックエレメント(HSE,heat shock element)も存在している。Hsp40の熱ショックによる誘導はHSE依存的であり、このHSEに熱ショック転写因子であるHSF(heat shock factor)1が結合することも判明した。なおHsp40遺伝子はFISH法によってヒト染色体の19p13.2にマッピングされた。
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