研究概要 |
個体を用いたDREFの機能解析に必要な遺伝子導入ハエを樹立し、DREFの異所的な発現によってもたらされDNA複製や細胞増殖の異常を詳細に解析し、以下の結果を得た。(1)DNA結合活性および二量体形成活性の両者を有するDREFのN端125アミノ酸残基は、dominant-negativeな効果をもつことが明らかとなった。(2)唾腺においては、dominant-negative型DREFを発現させると、この組織におけるDNA複製が阻害され、DNAの多糸化の程度が抑えられたことから、DREFはendo cycleにおけるDNA複製に必須であることが証明された。(3)glass遺伝子のプロモーターを利用して、複眼原基のpost-mitoticな分化過程にある細胞で野生型DREFタンパク質を発現させると、異所的なDNA複製とアポトーシスが誘導され、秩序だった複眼の形態形成は乱されて、rough eye phenotypeを示した。また、正常な分化も乱されて、光受容細胞R1,R6,R7の形質を示す細胞が形成されなかった。このことは、DREFは、細胞増殖と分化の接点で機能する転写因子であることを意味する。(4)DREFの哺乳類細胞におけるホモログを単離する準備として、Drsosophila melanogasterの近縁種であるDrosophila virilisよりDREFホモログの遺伝子を単離し、よく保存された領域が3つ(CR1,CR2,CR3)あることを明らかにした。(5)DREFと相互作用する因子の遺伝子を単離するための、遺伝学的スクリーニングの準備を整えた。
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