研究分担者 |
豊島 陽子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40158043)
桑島 邦博 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (70091444)
山本 啓一 千葉大学, 理学部, 教授 (70053361)
新免 輝男 姫路工業大学, 理学部, 教授 (80114510)
児玉 孝雄 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (30034200)
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研究概要 |
今年度は,多様な生物分子モーターの特性を解析するための基礎的研究が多く行われ,重要な成果をあげた.まず,鞭毛・繊毛のダイニン系においては,世界ではじめてダイニン1分子による力測定を行い,テトラヒメナ軸糸22Sダイニンの出す最大の力が約4pNであること,ATP濃度によって運動の連続性が変化することなどを明らかにした(豊島).さらに,ダイニンの一分子可視化のために蛍光標識ダイニンを調製し,その運動性を測定した(神谷).原形質流動を担うミオシンはその運動の高速性から興味がもたてるが,このたび車軸藻ミオシン遺伝子のクローニングに成功した(山本).また植物細胞ミオシンの運動調節に関連して,テポウユリ花粉管のミオシンの軽鎖として、カルモジュリンが結合していることを明らかにした(新免).カルモジュリンのカルシウム結合と運動性との関連性を現在追及中である.その他,典型的モーター蛋白質ではない蛋白質の運動性を解析する方向の研究では,まずDNAを軌道として運動する蛋白質の運動性を解析する方法を確立するために,光ピンセットによるDNA1分子操作系およびDNA分子長計測法を開発、確立した(田代).また不溶性グルカン合成酵素(GTF)の酵素反応論的およびタンパク質化学的特性を解析した結果,予想通りGTFがデキストラン鎖上を滑りながらα-1,3分岐を形成することを示唆する結果を得た(児玉).この運動エネルギーは蔗糖分解のエネルギーそのものによって与えられると考えられる.また,運動性ATPase酵素との類似点を多く持つシャペロニンGroELに関して,その標的タンパク質認識が、各種ヌクレオチドやコ・シャペロニンGroESとの結合によりどのように変化するかという基礎的問題を検討し,モーター蛋白質の分子機構を考える上で示唆を与える結果を得た(桑島).
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