研究概要 |
我々は本重点領域研究補助金により血管平滑筋から重鎖の異なる2種類のミオシンIを単離、同定し、以下の新しい知見を得た。 1.既に発表した分離精製法(J.Biochemistry(1996)120,971-976)を改良し、迅速かつ再現性の高い分離条件を確立した。 2.二種類のアイソフォームそれぞれに対する特異抗体の調整を行いピコモルレベルの免疫学的微量定量法を確立した。 3.ミオシンIのモータードメインおよび生体膜結合領域を選択的に限定分解する酵素処理条件を確立し、得られた断片の一次構造からミオシンIファミリーの中でサブタイプの帰属分類が出来た。 4.構造機能解析を目的とするクローニングを行い、尾部をコードする遺伝子断片を得たのでさらに全長をカバーする遺伝子の分離を行っている。 5.血管平滑筋ミオシンI発現の組織特異性を調べたところ大動脈以外に肺、心臓に存在を認めた。 6.蛍光顕微鏡観察によりミオシンIの細胞内局在を明らかにした。さらに細胞分画法を用いて細胞内局在を見たところミオシンIの一部が細胞膜、細胞内小器官や細胞骨格のいずれとも結合していないこと見出した。現在、増殖因子等の刺激にともなう局在の変化について検討を行っている。
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