研究概要 |
1.BAC・コスミドコンティグの作成と塩基配列決定 我々は従来3ゲノム相当のBACライブラリー(Gene,191,69-79,1997)及び7ゲノム相当の21番染色体特異的コスミドライブラリーを用いて21q22.3のマーカーMX1-D21S171間約3MbのBAC・コスミドコンティグの作成し、脳神経特異的遺伝子の単離を進めていたがコンティグの一部にギャップが存在した。そこで平均160kb、10万個のBACを新たに収集しコンティグの作成をさらに進め、約2.5Mb以上をカバーした。これらのコンティグのうちすでに2Mbのショットガンシーケンシングをほぼ完了した。 2.遺伝子の探索 決定した塩基配列をもとにDDBJなどの塩基配列データベースに登録されている既知遺伝子、EST配列との照合を行い遺伝子と予想される配列のマッピングを行った。さらにエキソン予測ソフトGrail等を用いて遺伝子の予測を行った。これらは遺伝子の部分的な推定情報であるため、実際に発現していることを確認し、遺伝子構造を決定するため、ノーザン解析、cDNAスクリーニング、RT-PCR、RACE法をおこなった。このようにした明らかにした遺伝子の中で遺伝子AIREが躁鬱病と同じくマーカーMX1-D21S171間にマップされていた自己免疫疾患APECEDの原因遺伝子であることを明らかにした(Nature genet.,17,393-398,1997)。またAIRE以外にもすでに10個以上の新規遺伝子を同定した(Genomics,42;528-531,1997,BBRC,235;185-190,1997,DNA Res.,4;45-52,1997)。それらの中でも特にKNP3は脳神経特異的に発現していること、カルシウムチャンネル様蛋白質をコードしていることなどから躁鬱病との関連を調べている。
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