研究課題/領域番号 |
09281102
|
研究種目 |
重点領域研究
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
永井 良三 群馬大学, 医学部, 教授 (60207975)
|
研究分担者 |
森下 竜一 大阪大学, 医学部, 助手
高橋 克仁 大阪府立成人病センター, 主査(研究職)
鍋島 陽一 国立精神神経センター, 神経研究所, 部長(研究職) (60108024)
東山 繁樹 大阪大学, 医学部, 助手 (60202272)
堀越 正美 東京大学, 細胞分子研究所, 助教授 (70242089)
|
キーワード | 動脈硬化 / 血管平滑筋 / BTEB2 / プロモーター / INOS / Znフィンガー / 組織因子 / アテレクトミ- |
研究概要 |
【目的】動脈硬化の発症には血管平滑筋細胞の増殖と形質変換が重要である。胎児型ミオシン重鎖(SMemb)遺伝子のプロモーターに結合する因子として同定したZnフィンガー型転写因子BTEB2の病態生理学的な意義を解析した。【方法】血管傷害時に発現が亢進する種々の遺伝子のプロモーターをルシフェラーゼ遺伝子に連結した。BTEB2の発現ベクターとともに、ヒト腎上皮細胞(293細胞)あるいはウシ肺動脈内皮細胞(CPAE)に導入した。抗BTEB2抗体を作成し、ヒト冠動脈アテレクトミ-標本の免疫組織染色を行った。【結果】BTEB2は胎児期には大動脈に発現し、発生とともに減少した。BTEB2はSMemb,組織因子,誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS),Egr-1,TIMP、PAI-1プロモーターを著明に活性化した。BTEB2は、NFkBによるVCAM-1プロモーターの活性化を増強した。78例の狭心症患者の冠動脈狭窄部より得たアテレクトミ-標本では、50%の症例で冠動脈血行再建術を受けていなくても再狭窄病変に出現する星型細胞が認められた。星型細胞はBTEB2陽性であり、しかBTEB2陽性星型細胞をもつ症例はアテレクトミ-後に高率に再狭窄をきたすことが判明した。【結論】BTEB2は単にSMemb遺伝子の転写因子としてだけではなく、広く平滑筋の形質変換に関わる転写因子として機能すると考えられる。また、BTEB2の発現は血管病変の形成の指標として臨床的にも有用である。
|