組織内には、構造も性質も異なる二種類のPAFアセチルハイドロラーゼが存在していることを我々は既に見出している。これらの中で、II型PAFアセチルハイドロラーゼと名付けた酵素をクローニングしたところ、血漿型の酵素とアミノ酸シークエンス上40%の相同性を持つ酵素であることが明らかになった。さらに細胞内型はN末端にミリスチン酸が結合しているユニークな酵素であり、興味深いことに、細胞に酵素ストレスを与えると酵素が細胞質から膜画分へ移行することが分かった。本酵素はin vitroではPAFのみならず酸化されたリン脂質もよく加水分解することから、細胞に酵素ストレスを与えたときに生成した酸化リン脂質を消去している可能性が考えられた。また、本酵素を過剰発現した細胞では、酵素ストレスに対する抵抗性も高まっていることも見出された。以上のように、細胞内のII型PAFアセチルハイドロラーゼは細胞内の酸化リン脂質を消去する新しいタイプの抗酸化酵素であることがわかった。
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