研究課題/領域番号 |
09300003
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
八木 久義 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80191089)
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研究分担者 |
境 正絋 九州大学, 農学部附属演習林, 教授 (70038248)
酒井 徹朗 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10101247)
山本 博一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70174810)
大橋 邦夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40203898)
有馬 孝禮 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10144057)
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キーワード | 大径材 / 高品位材 / 文化財修理用資材調査 / 大学演習林 / 存在状況調査 / 文化財保存林 / データベース化 |
研究概要 |
文化財修理用資材調査では既存の補修修理の木拾いより、各年代や建築用途の違いごとに劣化部材、補修部材の樹種、寸法などの実態を調査し、今後の調査の主点を検討した。大径優良材市場調査では、平城京「朱雀門」復元工事に用いた用材の需要量及び流通経路について調べた。その結果、最重要材であるヒノキは奈良、三重、岐阜、長野、埼玉と広範囲から集められていることが明らかになった。フィールド分布調査では大学演習林における優良大径木の存在状況および檜皮材用ヒノキ剥皮実験を行った。存在状況調査ではスギ、ヒノキ、ケヤキ、ツガ、クリなど25樹種について文化財修理用優良大径木を全大学演習林で実施した。主たる調査目的は優良大径木の生育条件の普遍化を図ることであり、各優良大径木の生育する環境調査を行った。次に、檜皮資材を採取するための剥皮行為がヒノキにとって、どのような生理的影響があるかを検証するため、福岡から千葉の間にある4カ所の大学演習林のヒノキ80本を斜面方位、林縁効果、立木密度、獣害に大きな差異が生じないよう配慮して選び、うち40本について剥皮し、残りの40本については対照木として観察の対象とすることとした。この実験にはヒノキ林所有者がもつ檜皮材採取により樹木の生育阻害や品質低下がおこるのではないかという疑念を解消する効果が期待される。保存林事例調査では寺社など木造建築物の補修用材を確保するための用材林を育成管理し持続的な供給体制の確立を図っている事例として、伊勢神宮遷宮造営用材確保のための森林育成をあげ、神宮備林の経緯と伊勢神宮宮域林の森林管理について調査したが、地域差や森林の現存蓄積に差はあるものの、自給するには必ずしも充分ではないという結論を得た。次年度以降は、以上の4項目の研究課題に加え、データベースの作成、優良大径木育成林の造成、文化財補修用材用備林の設定について検討を続ける。
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