研究課題/領域番号 |
09301008
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
庄司 興吉 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30061203)
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研究分担者 |
田中 宏 東京国際大学, 人間社会学部, 助教授 (80275809)
犬塚 協太 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教授 (00232520)
武川 正吾 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (40197281)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 世界システムのフロンティア / 中枢内周縁(中核内周辺) / 国際都市形成構想 / 多子・長寿から少子高齢化へ / 空間編成としての都市形成 / 受益圏・受苦圏の交錯 / 赤土問題の構築 / 地球地域主義(グローカリズム)の萌芽 |
研究概要 |
冷戦後国際化時代の地域形成と生活様式について、それをめぐる理論的および一般的な諸問題については研究発表・図書の欄に挙げた2書で成果を示したので、本報告書ではそれらを沖縄に即してみた経験的研究の成果を示す。 第一部では、沖縄を世界および日本との関連で巨視的に見た場合、世界システムの展開のなかでそれが「フロンティア」として扱われてきており、その意味で「中核性」と「周辺性」の相克のもとに置かれてきたこと、「国際都市形成構想」はそうした歴史と現実への沖縄の主体的対応であるを明らかにしている。第二部は、沖縄の状況を内部に立ち入ってみるため、家族と福祉の実態を解明しており、伝統的に多子的かつ長寿であった沖縄の社会が本土化の過程で日本全体の高齢・少子化の流れに巻き込まれてきており、それに対応した福祉政策の必要性が高まってきていることを述べている。 第三部は、沖縄社会の分析をさらに深めて、沖縄戦によってほとんど裸の土地と化した本島に生き残って住み着いた人びとの戦後社会形成の歴史を、空間編成から分化の最盛へ、そこからさらに独自文化の「創造」へとたどっている。そして第四部では、こうした過程で生じた沖縄独自の社会問題について、基地をめぐる受益圏・受苦圏の交錯、復帰後開発にともなう赤土問題の「構築」、沖縄「自立」論の伝統。それらをふまえた現在の社会運動の状況にわたって分析し、県政が革新から保守に転じた現状の困難性と可能性をえぐり出している。 暫定的な結論として、世界システムの中枢内周縁(中核内周辺)に位置する沖縄には、緩やかながら、その独自の歴史と社会をふまえた地球地域主義(グローカリズム)の芽がさまざまな形で育ちはじめている。
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