研究課題/領域番号 |
09301009
|
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
古城 利明 中央大学, 法学部, 教授 (70055185)
|
研究分担者 |
中島 康予 中央大学, 法学部, 助教授 (90217729)
大倉 秀介 和歌山大学, 教育学部, 教授 (80099324)
吉原 功 明治学院大学, 社会学部, 教授 (60062171)
矢澤 修次郎 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (20055320)
庄司 興吉 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30061203)
|
キーワード | 世界社会 / 市民社会 / 国際化 / 人類意識 / 異文化接触 / 世界市民 / 身体 |
研究概要 |
1. 本年度は平成10年11月から12月にかけて「『世界の中の日本』に関する意見調査II」を東京都と大阪府の市民各1,000名を対象に実施した。実施は輿論科学協会に依頼したが、回収率は東京都で65.5%、大阪府で72.9%と高かった。クロス集計までの分析での主な知見は以下の通りである。 (1) 海外経験は1986年の調査時と比較すると飛躍的に増大し、東京で60%、大阪で48%の人が経験をもっている。まだまだ1-10日間と期間の短い人が44.3%と多いが、31日以上の経験者も26.8%を占めている。しかし、カルチャーショックの度合いは低く、人の国際化は表層的拡大の域をあまりでていない。 (2) 地域、国民、階級・階層、人類のどの集団にアイデンティティをもつかという点については、1986年との比較では人類意識が微増し、他は減少傾向にある。だが、この微増をもたらしたのは20代、30代の世代で、50代、60代では国民意識が強い。他方、男性の若年・中年層で階級・階層意識が増加している。 (3) 世界社会の階層帰属では、1986年と比較すると、中の上が微増し、中の下に減少傾向がみられる。しかし両者の合計は東京で65.3%、大阪で57.6%であり、60%前後が世界社会のなかで中流と考えていることには変わりはない。他方、DK・NA層が増加し、大阪では20.6%にもなっている。 (4) 異文化接触は日常生活にも浸透しつつあるが、まだ微弱である。他方、世界の変化についていけないという感覚が女性と老人層に広がっている。 (5) 以上から、世界市民としての成熟度はやや進展しているかにみえるが、世代や性別によってかなり違いがあり、これを身体論をふまえた新たな視点で検討する必要がでてきている。 2. 昨年度に引き続き識者調査の分析を行い、とりまとめの方法について検討を行った。その結果13年前のデータとあわせて言語論的把握も含めた新たな視点から分析を深めることとなった。
|