研究課題/領域番号 |
09301014
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
佐々木 潤之介 早稲田大学, 教育学部, 教授 (60017613)
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研究分担者 |
松浦 義則 福井大学, 教育学部, 教授 (40108254)
藤木 久志 立教大学, 文学部, 教授 (60062585)
田沼 睦 東京成徳大学, 人文学部, 教授 (50114103)
佐藤 和彦 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (80013275)
桑山 浩然 滋賀大学, 教育学部, 教授 (90013268)
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キーワード | 戦争 / 飢饉 / 疫病 / 災害 / 一揆 / 逃散 |
研究概要 |
本研究は、日本中世および近世、なかんずく南北朝期から江戸時代初期の寛永期(14世紀初頭〜17世紀中期)までの<荒廃>と<餓>の問題を、飢饉と戦争の被害の問題としてとらえようとするものである。その際とくに、民衆にとって飢饉と戦争がもっている歴史的意味を、問いなおす観点からの研究をおこなうこととしている。 本年度おこなった研究活動は以下のとおりである。 1. 5回の研究会をひらき、 (1) この問題についての記録に関する史料学的検討をおこない、 (2) 研究史について、とくに戦国・織豊時代についての最近の研究成果についての検討をおこない、 (3) 収集史料を整理し研究討議をおこなった。 2. 文献資料のなかから、この時期の飢饉・戦争関係の史料の収集につとめた。刊行されている文献は複写をし、未刊のものについては写真撮影や筆写などの方法で収集した。当初の予定では、南北朝期からを考えていたが、研究会を重ねた結果、中世前期も視野に入れるべきとの結論に達したので、本年度は鎌倉時代の史料の収集に着手した。たとえば、『大日本史料』第5編の検索をおこない、関連する史料を収集し、記録・整理などの作業をおこなった。 3. 九州地方などいくつかの地域について、飢饉と戦争に関する史料についての所在調査をおこなうとともに、年代記など、それらの史料の収集をはかった。 以上の活動による当面の成果は、以下のとおりである。 (1) この時期、飢饉と戦争がほとんど毎年のごとく頻発していた状況が明らかになりつつあり、飢饉・戦争の被害が、この時代の社会史にとって、重要な歴史的意味を持つことが明らかになってきた。 (2) 民衆が、飢饉と戦争とによって受けた被害の実態を明らかにするという意図とともに、さらに、民衆がその被害のなかで鍛えあげてきたもの、掴みとったものを、歴史的具体的に明らかにすることの重要性を再認識した。 来年度も、この成果をいかにしつつ、本課題の研究をすすめ、それらをまとめて報告書を作成する。
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