研究課題
基盤研究(A)
本年度当初の目標の一つであったデータ処理に関しては、年度末までに自筆本画像処理ソフトプログラムを開発することにほぼ成功した。これは、自筆本画像とその解読文とを部分同士任意に関連づけ、コメントを付けデータベースとして格納し、キーワードによって任意の複数のデータを画像としても、文字テキストとしても呼び出し比較し、印刷するところまでの一体化したソフトで、画期的な技術開発である。現在はプロトタイプを完成したばかりであるが、引き続きこれを廉価で開発し、次年度はデータの格納を実際に始める計画である。このソフト開発のために多くの努カがなされ、研究費も多く投入されたが、大変望ましい結果が得られた。自筆本の資料調査と収集は所蔵者及び保存機関の許可が厳しいことから、写真による撮影を真福寺並びに東大寺図書館に限定し、この二ヵ所の自筆資料を研究対象として絞り込むことにして、研究材料の収集に努めた。収集に関して当初デジタルカメラを利用することを計画していたが、現在の技術では従来の写真に勝る解像度で大量のデータをデジタル化することが、甚だ困難であることがわかり、これを断念し、従来の写真撮影によるデータの収集につとめ、設備備品にあてる予定の費用を図書に変更した。次に海外の画像処理に関する研究集会に於いて研究成果を発表し技術交流を図ることは、本年度は開発の予定が遅れたこと、適当な時宜を得なかったことにより見合わせた。