研究課題
基盤研究(A)
本研究の目的は、全国に所在する古目録の網羅的調査研究にある。日本の「書物の目録」は古代から現代までさまざまな目録が作成されており、それらの「書物の目録」を体系的網羅的に調査し、把握することは、それぞれの時代に享受、伝来された書物の歴史を具体的に究明することができると同時に、それぞれの時代の文化状況を知るうえでも極めて重要である。1.本研究では、既に本体の蔵書は散逸してしまったが、もとの目録が現存しているものを始めとして、古目録がどれだけ現存しているか、その所在の調査を行い、毎年追補を行い約2000点の目録についての所在台帳を作成した。現時点で知りうる古目録の総合的所在目録である。作成にあたっては、これらの目録の内容によって検索、確認が容易に行えるよう、19の部門を立てて配列した。2.天理図書館、静嘉堂文庫、大東急記念文庫などの古目録を多量に所蔵している図書館・文庫所蔵の古目録を実地に調査し、詳細な書誌カード(著者、書写者、対象分野、収録書数、目録の成立時期、蔵書内容、諸本との伝本上の特色など)を採った。3.国立国会図書館、内閣文庫、宮内庁書陵部、静嘉堂文庫、大東急記念文庫、天理図書館、東北大学附属図書館、鶴見大学図書館などの図書館所蔵の古目録の内、伝本研究に重要と思われる主要な古目録を紙焼写真で収集した。また、古書界に流通している未登録の原本の蒐集にも心がけた。4.更に、収集した紙焼写真をもとに、研究分担者各自の専門分野に従って分担し、分析研究を行い、研究発表を重ねて共通理解を図り、各種目録の書写・伝流について、箇々の実態を見極める研究を行った。ある目的で書物を集める場合、何年、何十年にも亘って、または父子何代かに亘って集めることもあり、全国に所在している古目録を見ると、同一書名の目録でありながら、収載書数、収書内容の大きく異なることも多い。これらの書目を比較検討することにより、それらの書目の成立過程、箇々の書目の位置づけを行った。なお、本研究の成果は、影印および翻刻からなる「諸家目録集成」(汲古書院)として近く刊行予定である。
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