研究課題/領域番号 |
09301024
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
水之江 有一 千葉大学, 文学部, 教授 (90009598)
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研究分担者 |
西村 靖敬 千葉大学, 文学部, 教授 (00156118)
三井 吉俊 千葉大学, 文学部, 教授 (00157546)
木下 豊房 千葉大学, 文学部, 教授 (40009692)
前田 彰一 千葉大学, 文学部, 教授 (70023596)
倉智 恒夫 千葉大学, 文学部, 教授 (20062614)
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キーワード | ヨーロッパ多層文化社会 / 民衆文化 / 芸術のテクスト / 芸術のコンテクスト / カナダ文化 / 沖縄文化 / 多言語文化 / 人間の本性、言語と国家 |
研究概要 |
国際化時代に.おける国境の空白化と民族間の交流の結果、調和と争いが生じ、また新たな文化交流と文化摩擦の原因になっている。民族固有の文化がその言語、文字、宗教、神話、民間風俗、暦、民衆文化の面で、政治や経済の激動に伴い、どのように変化し、どのような再編がヨーロッパ各地で起こっているかを検証しているところである。その方法として今年度は「多元性のパラダイムを求めて」と題し、3回の国際会議を設定した。まず最初は「沖縄の新生」であり、第2回は「日本-新たなヴィジョンとモデル」、第3回は「南・東南アジア-民族の共生」の問題を論じた。それもこの研究における手法と成果の延長線上にあり、翻ってヨーロッパの現状を身近な問題から再検討しようとするものである。ポスト・帝国主義、ポスト・植民地主義、の観点から新たな分化的指針を求めていくときに、われわれはトランスモダンという観念を援用する。それは現代の視点を越え、次世代を摸索するものであり、空間的には.現在点を超えて別の地点に移行することを前提としている。民族間題に限定すれば、20世紀が終焉しようとする今日、現在の文化的コンテクストを過去との観点で正確に捉え、21世紀には何が起ころうとしているのか、何が消滅しようとしているのか、を思考する。さらに現代の政治経済の軋轢のなかで、どのような民族の空間移動が生じ、繰り返される紛争と和解のもとで、どのような芸術や文学空間が新たに形成されているのか、を検証しているところである。この意味において、アイルランドの現状は注目に値するし、ロシア、ユーゴスラヴィア、などが視界に入る。さらに今年度力点を、置いたのは、沖縄とカナダである。これは過去との関連において、芸術形成の過程を検討したからであり、アジアは流動する現代のなかで、民族と国家と国際社会の相関関係を把握するのに有効であった。来年度はこの方針を継続する。
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