研究課題
基盤研究(A)
わが国経済の国際化は近時急速に進展している。それに伴い、外国からのわが国の法制度についての国際的な平準化の要請と、外国企業にとっての経済活動の自由の増大への主張もあって、企業集中・企業結合に関しても、一面では持株会社の一部容認にみられるような規制の緩和が進められるとともに、他面では、企業系列(生産系列と流通系列)に対する規制強化の動きもみられる。本研究は、以上のような現時の日本経済の現状をふまえて、1.製造業および流通業における企業系列の再編成の実態把握と法規制のあり方を検討すること、2.金融・保険業の規制緩和を含めて株式所有等による企業間結合の展開・再編の過程を調査するとともに、独禁法その他による法規制の基本的あり方を検討することを課題としている。とりわけ本年度は、製造業および流通業のうちから自動車産業をとりあげ、その生産と流通における企業系列の再編成の現時における実態を欧米との比較において法的観点から把握することを主たる課題とした。具体的には、欧米の自動車産業の生産と流通の構造を日本との比較において調査・研究するために、その前提となる調査研究の方法等についてレビューを受けるためにドイツおよびアメリカに出張した。同比較研究の計画案を作成する過程においては、ドイツおよびアメリカの主要な自動車会社および部品会社とディーラーの実情の把握にも努めた。また金融持株会社を含めた持株会社、合併、株式所有などの企業集中・企業結合についての実態把握および理論的研究を進めるために研究会を定期的に開催した。
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