研究課題/領域番号 |
09304002
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上野 健爾 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40011655)
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研究分担者 |
齋藤 政彦 神戸大学, 理学部, 教授 (80183044)
清水 勇二 国際基督教大学, 教養学部, 準教授 (80187468)
丸山 正樹 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50025459)
浪川 幸彦 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (20022676)
藤原 一宏 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 講師 (00229064)
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キーワード | 無限自由度の可積分系 / モジュライ空間 / 位相的場の理論 / 共形場理論 / 準安定曲線 / ピカール・フックス方程式 / 平坦接続 / モジュラー函手 |
研究概要 |
本年度は昨年度からの懸案である共形場理論からモジュラー函手を構成する問題を集中的に考察した。非アーベル的共形場理論では共形場ブロックのなすベクトル束は射影的平坦な接続をもつ。この共形場ブロックのなす束にアーベル的共形場ブロックのなす直線束の分数ベキを構成してテンソル積を取り、平坦な接続を持つベクトル束を取ると、平坦切断がなすベクトル束がモジュラー函手の公理を満足するというのが予想される。このことを証明するために、まずアーベル的共形場理論のモジュライ空間の境界での退化の様子を考察した。そのためにアーベル的共形場理論をハイゼンベルク代数と頂点作用素代数をゲージ対称性として持つ理論として構成し直した。特に、代数曲線が準安定曲線に退化する場合の共形場ブロックの挙動を調べるために、準安定曲線を正規化してできる曲線上の共形場ブロックのデータから、退化する前の曲線上の共形場ブロックを構成できることを示した。この議論によって、アーベル的共形場ブロックの退化は非アーベル的共形場ブロックの退化の場合と様子が異なることが示された。これは、アーベル的共形場ブロックの構成では半標準束を必要とすることから理解することができるが、従来は非アーベル的共形場ブロックと同じ挙動をすると思われていたものである。このアーベル的共形場理論の新しい構成法を使って、J.Andersen氏とのこれまでの共同研究の結果によりモジュラー函手が構成できることを示した。こうして、すべての複素単純リー環に対してモジュラー函手が構成でき、J.Grove氏の結果によって、このモジュラー函手から位相的場の理論が構成でき、従って3次元多様体の不変量が構成できたことになる。 さらに、本年度は代数多様体の族に対するピカール・フックス方程式に付随する非線形微分方程式を考察し、特に楕円曲線の族に関してモジュライ空間が有理直線や楕円曲線になる場合に非線形微分方程式の具体形を求めた。
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