研究分担者 |
名和 範人 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (90218066)
橋本 光靖 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (10208465)
藤原 一宏 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (00229064)
向井 茂 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (80115641)
佐藤 肇 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (30011612)
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研究概要 |
コンパクトKahler多様体Xの任意のKahler類は,任意に与えられた2πc_1(X)の実閉(1,1)-形式γをRicci形式にもつようなKahler形式を含むことを主張するのがCalabi-Yauの定理である.Calabi-Yauの定理の特異摂動を研究を行ない,次の成果を得た. (i) XがFano多様体,c_1(X-D)=0でDが非特異な因子のとき,X-Dは完備Ricci-flat Kahler計量を許容することを示した.特にDが反標準因子のときは一様なSobolev不等式が存在しないことに起因する解析的困難がある.この問題を,重みつきSobolev不等式の技法を展開することにより解決した. (ii-a) Xが2次元のとき,c_1(X-D)=0を満たすDが必ずしも正規交叉とは限らない特異点をもつ場合に詳しく調べた.その結果,複素射影平面上のconicとそのtangentから成る配置をDとして,Dをどのようにblow upしたものが完備Ricci-flat Kahler計量を許容するかを決定できた. (ii-b) Xが2次元のとき,c_1(X-D)=0を満たすDが有理曲線のサイクルの場合,Xが有理曲面でDがほとんど豊富な因子をサポートすればX-Dは完備Ricci-flatKahler計量を許容することがわかった. (iii) (i),(ii-a),(ii-b)の存在定理に現れる完備Ricci-flat Kahler計量の境界条件と重みつき等周不等式,増大度が小さい調和関数の関係を明らかにした. (iv)以上の存在定理を用いて,代数的偏極K3曲面がmoduliの境界に行ったときのRicci-flat Kahler計量の挙動を明らかにすることができた.
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