研究課題/領域番号 |
09304008
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
深谷 賢治 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30165261)
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研究分担者 |
古田 幹雄 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (50181459)
小野 薫 東京大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20204232)
太田 啓史 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 助教授 (50223839)
中島 啓 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00201666)
河野 明 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00093237)
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キーワード | シンプレクティック幾何 / フレアーホモロジー / ホモトピー代数 / モジュライ空間 / ミラー対称性 / 概正則曲線 / 倉西写像 / ラグランジュ部分多様体 |
研究概要 |
本年度の一番大きな成果は、ラグランジュ部分多様体の交わりのフレアーホモロジーに関する著書、Lagrangian intersection Floer homology-Anomaly and obstruction-がほぼ完成したことである。この書物の主な内容は、ラグランジュ部分多様体のフレアーホモロジーが定義されるための障害理論である。この障害理論は、ラグランジュ部分多様体に対してフィルター付きA無限代数を定め、そのA無限代数のホモトピー代数を通じて作られる。 ラグランジュ部分多様体に対してフィルター付きA無限代数を定めるぶぶんは、昨年までにほぼ完成していたが、本年度はとくにホモトピー代数の部分がより深化した。 具体的には、A無限代数の変形理論ができ、これによって、A無限代数の変形の無限小モジュライ空間が、倉西写像(の純代数的バージョン)によって記述できることがわかった。この倉西写像の構成には、ファンアマンズ(樹木の場合)が用いられる。この構成を通じて、ファインンの理論のユークリッドバージョン(もとはローレンツ計量)がモジュライ理論と深く関わることが明らかになった。 さらに、A無限代数の間のホモトピー同値の正確な定式化ができた。また、Whiteheadの定理の代数化すなわちホモロジーに同型を導くA準同型がホモトピー同値であることも証明された。 さらに、ラグランジュ部分多様体に対して構成したフィルター付きA無限代数が、もとのラグランジュ部分多様体の有理ホモトピー型の量子化に当たることがより明確に証明された。 この後に述べた2点は、12月に完成したLagrangian intersection Floer homology-Anomaly and obstruction-の第一稿にはまだ含まれず、現在執筆が進行中でほぼ完成している。 さらに、ラグランジュ部分多様体の族のフレアーホモロジーについて考察を進め、次の発展への糸口をえた。族のフレアーホモロジーがグロタンディック流の代数幾何学と有するつながりも見えてきた。 最後に、種数が高い場合について考察を開始した。
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