研究課題/領域番号 |
09304013
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡本 和夫 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40011720)
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研究分担者 |
薩摩 順吉 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (70093242)
桂 利行 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40108444)
河野 俊丈 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (80144111)
高野 恭一 神戸大学, 理学部, 教授 (10011678)
松尾 厚 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (20238968)
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キーワード | 可積分系 / 非線型完全積可能系 / パンルヴェ方程式 / ガルニエ系 / 双称形型式 / アフィンワイル群 / ベックルント変換 / 対称性 |
研究概要 |
平成12年度は本研究計画の最終年度に当たり、これまでの研究成果をふまえテーマのまとめと整理を行いつつさらなる研究の発展を目指した。研究グループのテーマは実施計画にある通り、(a)非線形完全積分可能系の理論的研究(b-1)非線形完全積分可能系の応用数理的研究(b-2)非線形完全積分可能系に関連する組み合わせ論の研究(c)非線形完全積分可能系の表現論的研究,の4つである。これまでに得られた各研究グループの成果は以下の通りである。(a)研究代表者が導いたパンルヴェ方程式に付随する初期値空間の幾何学的な意味と,この視点からの完全積分可能系の特徴付けについて、離散可積分系まで含めた最終的結果が得られたこと,多変数の非線形完全積分可能系であるガルニエ系の双線形形式や対称性および特殊解の構造について新しい結果が得られたこと等。(b-1)非線形完全積分可能系の幾何学的な見方が深まったことにより、特殊解の構造をはじめとする数理物理学的な応用がなされたこと、および他の研究テーマとも深く関連するが、パンルヴェ方程式の代数変換の新しいクラスが構成されたこと。(b-2)ガルニエ系の退化図式がヤング図形に対応していることは良く知られているが,実はガルニエ系にある階層構造があることが明らかになり、例えば、ガルニエ系がパンルヴェ方程式の解を特殊解として持つことがわかったこと。(c)パンルヴェ方程式はアフィンワイル群で記述される対称性を持つが,これを基にしてパンルヴェ階層とも呼ばれるべき新しい非線形完全積分可能系のクラスが発見されている。これについての詳細な研究がなされつつあること。 研究者間の交流については、数理物理学と数理工学への新しい展開と手法を探るため、国内はもとより海外の研究者との共同研究、ディスカッション等を行った。その成果の上に立って、新しい学問横断的な若手研究者のグループが組織されつつあり、また、本研究課題の遂行により新しい課題も明らかになってきた。いずれも本研究課題申請時の予想を遥かに超える研究の広がりであり、今後がますます期待される。
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