研究概要 |
値分布と双曲的多様体の理論では,多変数代数関数体上のNevanlinna-Cartan理論の確立とその有限性定理への応用がなされた.更に,準アーベル多様体内の正則曲線について懸案の第2主要定理の証明が成された.開代数多様体内の整正則曲線の分布と整数点集合の分布が同じであることが分かり,その次元の評価を得た.(野口,山の井,Winkelmann).正則写像の一意性定理に種々の進展が得た(相原,藤本,城崎).新しい双曲的射影超曲面の構成が行われた(城崎,藤本). CR解析幾何では,その複素構造の変形理論についての倉西プログラムの完全な解決(宮島),強擬凸境界でのベルグマン核の漸近展開についてのC.Fefferman予想の解決がなされ(平地),新しいCR不変量を得た(小松,神本).1―分割定理,L^2拡張定理の新展開,射影平面内のLevi平坦超曲面の非存在について,最も重要な場合である実解析的な場合の解決がなされた(大沢). 複素Lie群特に準トーラス上の関数論的性質について新しい結果を得た(風間,阿部,梅野).チューブ領域についての正則同型問題,楕円領域の境界による特徴付けについて興味ある結果が得られた(清水,児玉). 弱一完備多様体の射影空間への大域的埋め込みに関する,いわゆる中野予想を解決した.さらにこれを応用することにより,20世紀初頭からあった問題,準アーベル多様体上のLefschetz型定理を解決した(高山,阿部).板東・カラビ・二木指標を,多様体の準安定性への障害として特徴付けに成功した(満渕).対合付きK3曲面の解析的トーションの保型形式の性質と無限積の研究(吉川),解析的Zariski分解の応用に興味ある進展があった(辻). その他,多変数複素力学系,超幾何関数,特異点の複素幾何学的性質,その変形空間について種々の性質が解明された(上田,西村,寺田,加藤,泊,奥間,辻).以上,野口が本研究課題を総括した.
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