研究課題/領域番号 |
09304025
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
福井 康雄 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30135298)
|
研究分担者 |
土橋 一仁 東京学芸大学, 教育学部, 助手 (20237176)
水野 亮 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80212231)
小川 英夫 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20022717)
|
キーワード | 大マゼラン雲 / 巨大分子雲 / 星団 / 電波天文学 |
研究概要 |
本年度は当初の計画通り、^<12>CO(J=1-0)分子スペクトルを用いて大マゼラン雲の全面フルマッピングを行った。大マゼラン雲の主要部、6°×6°の範囲を2分角グリッドでマッピングし合計32,800点の観測を終了した。このように40パーセクという高い空間分解能で、大規模星団の誕生の場である巨大分子雲を大マゼラン雲全域にわたって検出したのは世界でこれが初めてである。本観測により、数万太陽質量以上の分子雲が462個検出された。これらの分子雲のうち3観測点以上の広がりを持つ55個に対して物理量を求め、カタログした。残りのサイズの小さい分子雲については、来年度搭載する230GHz帯受信器を用いて^<12>CO(J=2-1)で高空間分解能観測を行い、より精確な物理量を求める。 検出した分子雲のサイズ、線幅、質量の平均値はそれぞれ、45パーセク、7.4km/s、5×10^5M_<【of sun】>であり、銀河系内の分子雲の平均値とほぼ同じである。また、本計画の主目的である分子雲の質量スペクトルは質量の-1.5乗に比例することがわかった。これは、銀河系内の分子雲について求められている値とよく一致している。さらに、両銀河での分子雲の最大質量は2×10^6M_<【of sun】>程度と、ほぼ等しいことが明らかになった。これらのことは、大マゼラン雲では分子雲の性質が銀河系と類似しているにもかかわらず、巨大星団を形成していることを意味している。一方、大マゼラン雲ではCO光度が銀河系と比較して3倍程度有意に低いことがわかった。つまり、CO-H_2比が銀河系と比較して3倍程度少ないことが明らかになった。これらの結果は、重元素量の違い、つまり分子雲の冷却効率が星団形成に大きく影響を与える可能性があることを示唆している。
|