研究分担者 |
福田 光順 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50218939)
松多 健策 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50181722)
野尻 洋一 高知工科大学, 工学部, 教授 (90028233)
越桐 國雄 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (90153527)
佐川 弘幸 会津大学, 理学部, 教授 (50178589)
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研究概要 |
不安定原子核の核スピン偏極法やスピンアンサンブルのコントロール技術を開発し、偏極不安定核ビーム技術を確立した。この技術を活用して、不安定核の核磁気モーメントや電気四重極モーメント、鏡映核ベータ崩壊における弱核子流の誘導テンソル項と擬ベクトル流の時間成分(アキシャルチャージ)を決定し、原子核内での核子、メソンやクォークのダイナミクスの解明を計った。また、これらのダイナミクスと核子密度との関係を調べるため、相互作用断面積や電気四重極モーメントを精密測定した。成果は以下のようにまとめられる。 1)偏極不安定核ビーム技術確率のために、高エネルギー入射核破砕過程や低エネルギー核子移行反応における、^<8,12>B,^9C,^<12,16>N,^<13,19>O,^<20,21>F,^<27>Si,^<39>Caの核偏極度の実験と系統的な解析から核スピン偏極機構が明らかになった。 2)新核四重極共鳴法を用いて、^<12,16>N,^<13,19>O,^<21>F,^<27>Si,^<39>Caの電気四重極モーメントを測定した。その結果、これらの核の核子密度分布が明らかになった。実験に必要な結晶中の電場勾配(EFG)をKKR法による電子バンド計算により系統的に研究し、またTi^<17>O_2を合成し、^<17>OのFT-NMRから結晶内電場勾配を実験的に決定した。 3)極端な陽子過剰核^9Cや^<13>Oの核モーメントの精密値から、^9Cのスピン期待値が異常に大きい事を明らかにした。これは、従来のモデルでは説明出来ず、クォークの閉じこめ機構に関わるg-因子の再規格化が核内で起こっている可能性を示す。 4)新スピンコントロール法に基づいて、核整列相関項の精密測定を開始した。質量数12体系(^<12>B,^<12>N)ベータ崩壊におけるG-Parityの破れの上限を更新中である。また、非常に大きなアキシャルチャージが観測され、核子質量が核内で軽くなる再規格化が起こっている事が明らかになった。
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