研究課題/領域番号 |
09304039
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
後藤 輝孝 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60134053)
|
研究分担者 |
片岡 光生 いわき明星大学, 理工学部, 教授 (20005961)
落合 明 新潟大学, 工学部, 助教授 (90183772)
長谷川 彰 新潟大学, 理学部, 教授 (40004329)
|
キーワード | 超音波 / 音響ドハース効果 / 四重極子効果 / 軌道自由度 / 電荷自由度 / フェルミ面 / Yb_4A_3 / Ce_XLa_<1-X>B_6 |
研究概要 |
超音波計測で求められる弾性定数や吸収係数の温度磁場依存性には、金属、磁性体、超伝導体のスピン、軌道、電荷を持つ電子状態の豊かな物理が含まれており、後藤研究室では次の3の研究課題を設定している。これらの課題における軌道自由度や電荷揺らぎ、ランダウ状態はいずれも格子自由度と結合し、超音波物理学の重要課題であり多彩な研究を進めた。 (1)希土類化合物の局在4f電子系などの軌道自由度を持つ強相関電子系の四重極子効果。Ce_XLa_<1-X>B_6系の四重極一近藤結合系やTmTeの反強四重極子秩序でのC44モードのソフト化、Ce3Pd20Ge6の協力型Jahn-Teller効果と(C11-C12)/2のソフト化、などいずれも軌道自由度に由来する四重極子効果であり低温磁場中での超音波の詳しい研究を推進させた。また巨大磁気抵抗を示すペロブスカイト型酸化物La1-xSrxMnO_3系でも軌道状態の秩序化が重要であり、超音波による弾性異常と顕著な磁場依存性が見いだされ、格子系との結合な重要であることを示した。 (2)Yb4As3などの電荷秩序とf電子磁性の研究。価数揺動物質Yb4As3などの電荷秩序とC44モードのソフト化と構造相転移を解明し、Yb3+イオンの一次元配列を理論的にも実証した。価数揺動物Sm3Te4の超音波分散と電荷グラス形成、極低温での4f電子系のトンネル2準位系など新しい進展が見られた。 (3)音響ドハース効果による電動電子系の電子一格子相互作用の研究。音響ドハース効果の研究では特に強磁場下での実験が重要であり、本研究補助金では最高磁場18テスラの超伝導磁石(Oxford社)を購入した。また、3He冷凍機のクライオスタットの設計を開始している。音響ドハース効果測定の超音波装置の改良を進め、測定可能となった。購入した超伝導磁石は磁場打ち消しコイルが装備されている。4He温度で動作するクライオアンプも組み立てが終了し、低温での動作試験を行う。次年度には強磁場での音響度ハ-ス効果を進め、少数キャリアー系や超伝導体などの電子一格子相互作用の研究を進める。 新潟大では後藤、落合、長谷川のほかにDoenniも新たに着任し、中性子線錯乱も含めた強相関電子研究の進展が予測される。
|