研究分担者 |
大湊 隆雄 工業技術院, 地質調査所, 研究官
橋本 武志 京都大学, 理学部, 助手 (70283588)
筒井 智樹 京都大学, 理学部, 助手 (70240819)
金嶋 聰 東京工業大学, 理学部, 助教授 (80202018)
須藤 靖明 京都大学, 理学部, 助教授 (40025466)
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研究概要 |
本研究では,基本周期15秒という特異ともいえる阿蘇火山の超長周期微動源の解明を目指している.1997年8月に,広帯域地震計18台を用いて,中岳第一火口周辺において集中観測を行なった.得られた長周期微動の振幅は,火口内の観測点で非常に小さいなどの,当初の予想とは異なる分布を示し,これまで考えられてきた等方的な膨張・収縮に加え,垂直クラックの開閉成分が震源モデルとして必要であることがわかった.このモデルを仮定し,各観測点の振幅比をもっともよく説明する開口亀裂面を求めると,第一火口の南西約200m・深さ約1kmに中心があり,地表と約75度の傾きを持った火口列に平行に傾斜した縦横数百mの面となる.さらに,この亀裂面を地表に向けて延長していくと,ほぼその延長上に火口列が並んでいることになる.このことは,阿蘇火山の火口の分布は,地下の亀裂の形態を反映していることを示唆する.阿蘇火山では定常的な噴気活動が行なわれていることも考えると,これらの結果から,火口直下1km辺りに存在する帯水層において地下水/高温ガス/マグマなどの接触などによる熱水反応によって長周期振動が生み出されそれに伴って帯水層周辺に存在する亀裂群(亀裂・弱面の集合体)が開閉および膨張・収縮を繰り返しているという鮮明なイメージが浮かび上がってきた。さらに1997年11月に,この帯水層を比抵抗構造で検出するために,MT法を用いた比抵抗構造予備観測を実施した.これまでの結果では,数km深の探査に重要であると考えられる1秒〜10秒の帯域が電流性ノイズに汚染されていることが明らかになった.今後,リモートリファレンス処理によりこのノイズが除去可能かどうかを検討し,必要ならばMT法以外の方法の導入も考える.
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