研究分担者 |
加藤 尚之 工業技術院, 地質調査所, 研究官
長瀬 敏郎 東北大学, 大学院・理学研究所, 助手 (10237521)
大谷 栄治 東北大学, 大学院・理学研究所, 教授 (60136306)
齋藤 文良 東北大学, 素材工学研究所, 教授 (10007198)
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研究概要 |
本研究計画は,平成9年11月に追加採択され,ただちに開催した研究打ち合わせ集会において研究戦略を立案し,発足した.研究開始後3ヶ月間の研究成果は以下の通りである. 【encircled1】野島断層からの断層岩に加え,愛媛県大島で発見されたシュードタキライトと長野県飯田断層の粉体岩の試料を採取した. 【encircled2】Fluidizeした粉体岩2試料,カタクラスティックに流動したガウジ4試料の粒度を計測した.いずれもべき分布し,前者のべき数は後者より有意に大きいことを見出した.また,粉砕粒子の片割れを発見できる確率を計測し,これがfluidizationの存否の有効な判定基準である見通しを得た.この結果は,活断層が地震性かクリープ性かを判定する実用的なツールになりうる点で画期的である. 【encircled3】地震性摩擦すべりの物理過程はthermal pressurization,ガウジのfluidizationおよびmeltingから成る.このうち,thermal pressurizationはpre-seismicなクリープと低速すべりを予見し,地震直前予知の可能性への見通しが得られた.Fluidizationは極めて急激で完全に近い応力降下を予見し,強震動の原因であるとの予見を得た.Melting,とくにその初期は高速すべりの抑制因子であり,高速すべりを停止させる(地震のサイズを決定する)有力な機構との予見を得た.上記の3つの過程から,高速すべりはラプチャー先端部に限定され,slip pulseを発生することが予見される.これは最近の精密な波形インバージョンの結果を説明できそうである. 今後,当初研究計画に沿って,新設備を活用して断層岩の諸性質を解析し,リアルな地震性摩擦すべりの物理過程を明らかにすると同時に,それらをマクロな摩擦構成則として統合する予定である.
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