研究分担者 |
竹内 誠 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80273217)
小嶋 智 岐阜大学, 工学部, 教授 (20170243)
山本 鋼志 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70183689)
鈴木 和博 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90111624)
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研究概要 |
CHIME法により始生代起源であることが分かったジルコンやモナザイトは希土類元素に富む。そこで,初年度は新規に購入したICP質量分析計による希土類元素分析のための基礎研究を中心に行った。希土類元素を精度よく分析するには,(1)カラム分離により希土類元素を主成分元素と分離し,マトリックス効果を小さくすること,(2)酸化物による妨害を補正すること,(3)内標準元素としてインジウムを用い相対強度を測定し定量すること,が必要であることが明らかとなった。そして,30ミリグラム程度の岩石試料に含まれる14希土類元素を約3%の誤差内で定量できる目途がたった。この精度は,砕屑岩の化学的な特徴を解析するのに十分なものである。 日本列島の含始生代砕屑粒子砂岩研究の基礎データとするために,上記定量法により,オーストラリア・ピルバラ地域の始生代および原生代砕屑岩について希土類元素分析を行った。その結果,始生代の砕屑岩は,軽希土類元素が重希土類元素に比べて著しく乏しいことが明らかとなった。蛍光X線分析法による主成分・微量成分元素組成との比較から,始生代砕屑岩は,堆積過程で激しい風化作用を被ったこと,つまり,風化過程で軽希土類元素が溶脱したと解釈される。さらに,軽希土類元素の枯渇の一部は,砕屑岩の原岩に超塩基性岩(コマチアイト)が約15%程度寄与していたことに起因する可能性が大きい。この割合は,予想される超塩基性岩の量に比べて約3倍程大きく,始生代砕屑岩が比較的狭く限られた後背地の地質と深く関わっていたことを示唆する。
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