研究分担者 |
伊佐治 鎮司 千葉県立中央博物館, 学芸員 (40280747)
加瀬 友喜 国立科学博物館, 地学研究部, 室長(研究職) (20124183)
遠藤 一佳 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80251411)
上島 励 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (20241771)
大路 樹生 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (50160487)
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研究概要 |
1. 比較解剖学・古生物学的研究 棚部と伊佐治は原始的軟体動物頭足類のオウムガイの中期胚の体管策を透過型電子顕微鏡を用いて調べ、外套膜原基が原殻の内面に付着することにより体管策が形成されることを明らかにした。また、棚部は頭足類の口球部器官(歯舌および顎器)、アンモナイト類の筋肉痕および体管策の比較解剖学的特徴をまとめるとともに、系統学的意義を考察した(Tanabe et al.,1998;Tanabe and Fukuda,1999;Tanabe et al.,in prep.)。さらに、棚部は韓国江原道のカンブリア系中部から軟体動物群化石群を多数発見した。現在分類学的研究を行っているが、予察的には単板類や腹足類を含むことが判明した。今後の研究により、軟体動物の初期進化について大きな知見が期待できる。 2. 分子系統学的研究 上島と遠藤は,軟体動物に近縁と考えられている腕足動物のシャミセンガイのミトコンドリアmtDNAゲノム構造の解析を行った。従来、イソ酵素の解析からはシャミセンガイの集団では遺伝的な均一性が保たれていると考えられていたが、mtDNAゲノム構造は集団間で驚くべき多様性を示し、分子進化速度が速くなっていることが示唆された(Endo and Ozawa,in prep.)。 3. 生鉱物学的研究 軟体動物における殻体形成の機構と起源を明らかにするため,遠藤は大学院生の更科と共同で、ホタテガイ(Patinopectenyessoensis)の殻に含まれる主要な水溶性タンパク質(MSP-1)をコードする相補的DNAをクローン化し,MSP-1の全アミノ酸一次配列を決定した.その結果,このタンパク質が主にアスパラギン酸,グリシン,セリンの組み合わせから成る3種類のドメインが規則的に繰り返した特徴的な構造を持つことがわかった(Sarashina and Endo,1998)。現在,MSP-1の機能上重要と思われる酸性領域が軟体動物でどれだけ広く保存されているかについて,PCR法を用いて検討を進めている。
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