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1997 年度 実績報告書

安定三重項カルベンの創製とその安定高スピン分子への展開

研究課題

研究課題/領域番号 09304059
研究種目

基盤研究(A)

研究機関三重大学

研究代表者

富岡 秀雄  三重大学, 工学部, 教授 (20024599)

研究分担者 平井 克幸  三重大学, 工学部, 助手 (80208793)
高橋 康丈  三重大学, 工学部, 助教授 (70197185)
キーワード速度論的安定化 / 立体保護基の開発 / トリフルオロメチル基 / ビシクロオクチル基 / ジアゾ化合物 / 光分解 / 寿命測定 / 磁気的測定
研究概要

三重項カルベンは高スピン分子の構成単位として有用であることが示されているにもかかわらず、まだ安定に単離されていない。我々はこれまでの研究によって、立体保護による速度論的安定化が三重項カルベンの安定化に対して有効であることをみいだし、室温溶液中で数分の寿命を持つものの発生に成功している。そこで本研究ではこの手法をさらに展開し、室温溶液中で時間単位の寿命、望ましくは完全に安定な三重項カルベンを創製することを第一の目的とする。そしてこのようにして合成した安定カルベンを構成単位として持つ高スピン分子を創製し、その特性化を行うことを第二の目的とした。
(1)三重項カルベンはH引き抜きにより失活するため、通常のアルキル基は保護基としては有用ではない。ビシクロアルキル基は、その橋頭位C-H結合のH供与能が低く、さらにアルキル鎖は外部試薬の接近を防ぐので、三重項カルベンの保護基として有用である。
そこで本年度はビシクロ[2.2.2]オクチル基を保護基として持つ三重項ジフェニルカルベンを発生させその寿命測定を行ったところ、全炭素化水素カルベンとしては初めて1秒をこえる寿命のカルベンであることを明らかにした。
(2)CF結合はカルベンと反応しない唯一の結合と考えられる。そこでオルト位にCF_3基を持つ一連の三重項ジフェニルカルベンを発生させ寿命測定を行った。その結果、オルト位に2個のCF_3基と2個のBr基を持つものが寿命20分近い非常に長寿命のカルベンであることを明らかにした。
(3)このようにして合成した安定カルベンの前駆体ジアゾ化合物もまた安定であり、化学操作に耐性があることをみいだしたので、ジアゾ化合物を強磁性的に連結する手法について検討した。その結果、エチニル基を導入し、ポリ(ヨード)ベンゼンとカップリングさせていく方法が非常に有用であることを見出し、現在この手法を展開しポリジアゾ化合物の合成を行っている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Hideo TOMIOKA: "Polymethylated and Poly(tert)butylated Diphenylcarbenes.Generation,Reactions,Kinetics,and Deuterium Isotope Effects of Sterically Congested Triplet Carbenes" J.Am.Chem.Soc.119. 1582-1593 (1997)

  • [文献書誌] Hideo TOMIOKA: "Flash Vacuum Pyrolysis of Trifluoromethylated Diphenyldiazomethanes.Role of Trifluoromethyl Group on the Arylcarbene Rearrangement" J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1745-1746 (1997)

  • [文献書誌] Hideo TOMIOKA: "Persistent Triplet Carbenes" Acc.Chem.Res.30. 315-321 (1997)

  • [文献書誌] Hideo TOMIOKA: "Bis〔1,2,3,4,5,6,7,8,-octahydro-1,4:5,8-di(ethano)anthryl〕carbene.The First All-Hydrocarbon Triplet Diphenylcarbene Having Half-Life over One Second under Normal Conditions" J.Chem.Soc.,Chem.Commun.2261-2262 (1997)

  • [文献書誌] Hideo TOMIOKA: "Persistent High-Spin Polycarbene.Generation of Polybrominated Tris-1,3,5-〔4-(phenylcarbeno)-phenylethynyl〕benzene(S=3)and Spin Identification by 2D Electron Spin Transient Nutation(2D-E__-STN)Spectroscopy)" J.Am.Chem.Soc.120(印刷中). (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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