高原子価金属ポルフィリン錯体による人工光合成型物質変換反応

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09304063
• 研究機関: 東京都立大学
• 研究代表者: 井上 晴夫 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90087304)
• 研究分担者: 嶋田 哲也 東京都立大学, 工学研究科, 助手 (50252317) ; 立花 宏 東京都立大学, 工学研究科, 講師 (00163478) ; 白上 努 宮崎大学, 工学部, 助教授 (60235744) ; 高木 慎介 東京都立大学, 工学研究科, 助手 (40281240)
• キーワード: 水の光分解 / ポルフィリン / アルケン / エポキシ化反応 / 酸素化反応 / 金属錯体 / 人工光合成

研究概要

研究代表者等が見出した水を電子源、酸素源とする可視光エポキシ化反応について、本年度は前年度までに得られた研究成果を基礎に、反応機構、錯体による水分子の活性化の分子過程に対する理解をより一層深化させ、得られた知見を総合化して、より高効率、高選択な光増感酸素化反応系を確立することを目標に研究展開を図り以下の研究成果を得た。
1)反応の一層の高効率化のための再適中心金属およびポルフィリン誘導体の探索。
光反応性、生成物選択性、基質選択性、増感剤安定性の面から新規増感剤を探索した。特に前年度までに得られた成果を基礎に遷移金属ではPt(II),Rh(III),Os(II),Pd(II)を中心に検討した。Rh(III)錯体は良好な反応性を示しアルケンの水酸化反応が主反応となることを明らかにした。
2)反応性向上の指針となる反応機構の解明と反応設計
前年度に引き続き、反応機構について、主にレーザーフラッシュフォトリシス法により1)関与する電子励起状態の特性、2)励起状態におけるプロトン解離過程、3)励起状態における電子移動過程、4)反応活性種の検出と動的過程の観測、などについて詳細に検討した。代表例としてSb(V)ポルフィリン錯体について詳細に検討し、活性種である金属オキソ錯体と帰属できる中間体を検出することに成功した。反応性を支配する要因、選択性を支配する要因について重要な知見が得られた。

研究成果

• [文献書誌] S.Takagi, Morimoto, T.Shiragami, H.Inoue,: "Visible light induced oxygenation of cylcohexene with activation of water sensitized by dihydroxy coordinated tetraphenylporphyrinatotin(IV)."Res. Chem. Intedrmed., 26,171-183(2000).. 26. 171-183 (2000)
• [文献書誌] L.Biczok, T.Berces, and H.Inoue,: "Effects of Molecular Structure and HYdrogen Bonding on the Radiationless Deactivation of Singlet Excited Fluorenone Derivatives."J.Phys. Chem. A, 103, 3837-3842(1999).. 103. 3837-3842 (1999)
• [文献書誌] Y.Kameo, S.Takahashi, M.Krieg-Kowald, T.Ohmachi, S.Takagi, and H.Inoue,: "Surface Polyfluorinated Micelles."J. Phys. Chem. B, 103, 9562-9568(1999).. 103. 9562-9568 (1999)
• [文献書誌] H.Kusaka, M.Uno, M.Krieg-Kowald, T.Ohmachi, S.Kidokoro, T.Yui, S.Takagi, and H.Inoue,: "Surface polyfluorinated cationic vesicles."Phys. Chem. Chem. Phys., 1, 3135-3140(1999).. 1. 3135-3140 (1999)
• [文献書誌] T.Shinoda, T.Nishiwaki, and H.Inoue,: "Desulfonylation of Poly (4-hydroxystyrene sulfone) by Vapor Phase Silylation."J. Polym. Sci., A. Polym. Chem., 37, 1549-1554(1999). 37. 1549-1554 (1999)
• [文献書誌] 大町忠敏、日下裕美、高木慎介、井上晴夫、: "ポリポリフルオロ化カチオン界面活性剤キャスト膜上における有機分子および水の吸着挙動"日本化学会誌、1999,451-456.. 451-456 (1999)
• [文献書誌] S.Takagi and H.Inoue,: ""Molecular and Supramolecular Photochemistry of Porphyrins and Metalloporphyrins""Mercel Dekker. 128 (1999)