研究課題/領域番号 |
09304070
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
分離・精製・検出法
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
下村 政嗣 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (10136525)
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研究分担者 |
西川 雄大 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (40281836)
KARTHAUS Olaf 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (80261353)
居城 邦治 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (90221762)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | 核酸 / 単分子膜 / 蛍光寿命 / インターカレーション / 塩基配列 / 走査プローブ顕微鏡 / ポリイオンコンプレックス / 単一分子検出 |
研究概要 |
本研究の目的は、二次元に組織化された分子集合体を鋳型として単一分子DNAを配向固定化するとともに、DNAの構造的な特徴である塩基対のスタッキングとそれに伴うパイ電子相互作用による長距離にわたる電子伝達能力を利用した新たな検出原理に基づくDNAのハイブリダイゼーション過程の高感度解析手法を開発し、走査型プローブ顕微鏡下における蛍光分光学測定を行おうとするものである。すでに本申請者らは、二次元分子集合体である単分子膜が規則構造のある荷電表面を形成し、その荷電表面を鋳型として反対電荷を有する高分子電解質が単分子状に静電吸着することを見いだした。DNAはリン酸残基を有するアニオン性高分子なので、カチオン性単分子膜の荷電界面に単分子状に静電吸着すると期待される。界面化学的な手法による単分子膜の相状態の測定、蛍光顕微鏡による水面膜の直接観察、水晶発振子マイクロバランスによる微量重量測定、レーザー分光学的な方法による解析、などによってDNAが単分子膜界面に単一分子的に吸着することを明らかにした。さらに、インターカレーターであるアクリジンオレンジの長鎖誘導体からなる気水界面単分子膜の蛍光寿命が、polyG-polyCを吸着することで著しくみじかくなることをピコ秒蛍光寿命測定装置によって明らかにした。これはグアニン塩基による電子移動消光によるものと考えられる。さらにDNAを単一分子状に分離するために、下水相のDNA濃度を通常の吸着条件の10分の1程度に希釈して単分子膜-DNA複合膜を作製した。蛍光色素(YOYO1)でDNAをラベルしガラス基板上に移し取り、近接場光学顕微鏡で観察したところ、一本のDNA鎖が膜の引き上げ方向に配列していることがわかった。また本研究者は、高分子の希薄溶液をキャストする過程で形成される散逸構造がキャスト基板上に固定化されることで、サブミクロン領域における様々な規則パターンが形成されることを見いだしている。本研究において、DNAの希薄水溶液をキャストすることで幅数百ナノメーター厚さ2ナノメーター、長さ数ミリメーターにいたる規則的に配列したストライプ構造の形成に成功した。さらにパターン化したアルギン酸をマトリックスとして単一DNA分子の配列が可能なことを近接場光学顕微鏡、高感度蛍光顕微鏡観察で明らかにした。
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