研究課題/領域番号 |
09304072
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
遺伝
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮田 隆 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20022692)
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研究分担者 |
岩部 直之 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80263060)
隈 啓一 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10221938)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | カイメン / 円口類 / ナメクジウオ / 遺伝子族 / 遺伝子重複 / 分子系統樹 / 生物多様性 |
研究概要 |
本研究は、真核生物の進化の過程で、遺伝子の多様化がどのように進んだか、遺伝子の多様化と生物の進化の間にいかなる関連があるか、遺伝子の多様化は如何なるメカニズムで起こったか、を明らかにすることを目的とし、多数の遺伝子族の分子系統進化学的解析を基礎に理論・実験の両面から研究を進めた。シグナル伝達系や形態形成に関与する遺伝子族の解析から、互いに機能の異なる基本的遺伝子(サブタイプに相当する)のほとんどは、多細胞動物の最初期の分岐である、カイメンとそれ以外の真正後生動物の分岐(約9億年前)以前にすでに遺伝子重複で作られており、それは動物の爆発的な多様化(すなわち、カンブリア爆発)の2億年も前に完了していたことが分かった。同一サブタイプに属し、互いに機能的には類似で、発現する組織を異にする組織特異的遺伝子の多様化は、脊椎動物の進化の前半に起きたことをすでに明らかにしているが、本年度は、遺伝子重複が起きた時期をより厳密に推定するために、ナメクジウオ、円口類の2種(メクラウナギとヤツメウナギ)、軟骨魚エイからPTK及びPTP遺伝子を単離し、組織特異的遺伝子の多様化が無額類と有顎類が分岐した頃(およそ5億年前)に起きたことを、合計12の異なるサブタイプで明らかにした。またこの多様化がゲノムDNAの重複に起因することをPDGFRサブタイプで明らかにした。これらの結果を総合すると、カンブリア爆発は、遺伝子重複による新しい遺伝子の創成ではなく、既存の遺伝子を再利用して達成されたと結論できる。
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