研究課題
本研究対象であるプラズマMHD発電は、回転機械でないため高温での動作が可能であり、現在の発電プラントと比較して飛躍的に高い58〜63%の高効率発電が可能である。本研究ではプラズマMHD発電機の性能を飛躍的に高めるために、発電機の形状や旋回流導入という新しい方法を提案し、それを実験的に検証することを目的としている。本年度は、発電機の入口に旋回流を導入するため、旋回流導入用のベーンの設計を三次元数値シミュレーションにより行った。その結果、従来に比べて非常に薄く、同時に簡単な形状を持つベーンによっても、所定の旋回流が得られることを確認した。この結果に基づいてベーンの設計を行い、24枚のベーンを内蔵するノズルを製作して、発電機内に設置した。その後、既設の大型衝撃波管風洞と磁場装置を用いて、種々の運転条件下で電流-電圧特性、全圧損失、プラズマの電子密度の揺らぎや、流れの様子について調べた。その結果、エンタルピー抽出率(電気出力/熱入力)25.7%、断熱効率54.3%が得られ、従来の世界記録をさらに大幅に更新することができた。さらに、出力も759kWという非常に大きな値が得られ、プラズマMHD発電の研究の歴史に記録されるような優れた成果を得ることができた。また、発電機内の流れの可視化を行い、プラズマの発光分布と衝撃波の位置について明らかにすることが出来、電磁流体力学と発電プラズマについての極めて重要な知見を得ることができた。今後は、さらに発電機の運転条件の最適化を行い、より高い性能を得ることを目的として実験を進める。
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