研究課題
本研究では、将来の高効率発電としてその実用化が期待されるプラズマMHD発電を研究対象としている。平成9年度と10年度の研究では、発電機形状の最適化により、これまでのMHD発電の記録を大幅に更新する750kWの出力と54%の断熱効率を発達することができ、実用化に向けて大幅に前進することができた。平成11年度は、この成果を踏まえ、さらに高性能な発電機を設計するために必要なデータを蓄積するため、MHD発電機内の諸現象を詳しく調べることを目的とした。発電性能は、発電機内の流れの挙動によって大きく影響される。そこで、これまで計測ができなかった発電チャネル内のマッハ数と旋回流の大きさを、流れの可視化のための新しい手法を適用して捉えることを試みた。その結果、入口旋回流を導入した昨年度の実験において、性能向上の原因が、正の旋回流がチャネルで予想される以上に高く保たれたこと、またマッハ数が全域で超音速に維持されたことにあることが明らかにできた。また、シード率の揺らぎと発電機内のプラズマの揺らぎとの相関関係を調べた結果、プラズマの揺らぎの原因がシード率の揺らぎにもあることをつきとめ、高性能化のためにはシード率の揺らぎを小さく抑えることが重要であることを見出した。さらに、プラズマの揺らぎがある場合、電流流線が空間的に大きく歪められ、これがプラズマの内部抵抗の増加につながり、出力の低下を招くことが指摘できた。これらの他に、発電機の非定常特性についても調べ、負荷の急激な変化が発電機内のプラズマと電気的特性のアンダーシュートやオーバーシュートを引き起こすことを世界で始めて明らかにできた。以上のように、平成11年度の研究により高性能化に向けての重要な指針となる、発電機内諸現象について新しい知見を得ることができ、3年間におよぶ本研究が非常に実りの多いものであったと言える。
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