研究課題/領域番号 |
09305020
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
西野 種夫 神戸大学, 工学部, 教授 (60029452)
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研究分担者 |
喜多 隆 神戸大学, 工学部, 助手 (10221186)
中山 弘 神戸大学, 工学部, 助教授 (30164370)
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キーワード | オーダリング / 量子構造 / 分子線エビタキシー / 超高速分光 / 反射率差分光 |
研究概要 |
本研究は半導体自然超格子超薄膜における原子オーダリングの局所的な揺らぎを利用した新しい量子構造創製技術の提案とその検証を光物性と電子輸送の両面からアプローチするプログラムである。この手法では結晶成長中の原料の精密制御技術が鍵を握る。本研究で提案している新しい手法は異なるバンドギャップの組み合わせを得るのに副格子の規則化やミクロなスケールでの自己組織化を利用しており、この手法を用いると同じ合金組成で量子構造を形成できる。本研究では、上記の半導体自然超格子のユニークな特徴を利用したまったく新しいタイプの量子構造を創製するため、自然超格子超薄膜中での規則化(原子オーダリング)の揺らぎによる量子構造の作製をおこない、その量子物性を光物性や電気的特性の面から明らかにする。平成10年度で達成した内容は以下のとおりである。 (a)MBE法によるInGaAs自然超格子超薄膜の成長: @結晶成長中にRHEEDとともにRDS(反射率差分光)信号をリアルタイムで計測するシステムを構築し、原子層制御して成長したInAs成長後の熱アニール過程でGaとInの原子移動を成長その場で評価することに成功した。また、0.1原子層単位で制御した成長を行い、新しい量子構造の作成を行った。 (b)分光学的側面から観た新量子構造の物性: @上記で作製した量子ドット材料及び原子移動を生じた試料の超高感度CCD検出フォトルミネッセンスを測定し、量子構造による新しいエネルギー状態確認した。 @詳細な研究の結果原子移動により混晶化したInGaAs層においてフォノンを放出しながらエネルギー緩和する過程を発見した。これは、新しい量子構造の揺らぎの存在を直接反映している。 (c)電気伝導特性から観た新量子構造の物性: @ポテンシャル揺らぎに対応した電気伝導特性の特徴を高感度に捕らえるため、タイム・オブ・フライト計測法を開発し、超短パルス励起された電子がポテンシャルのが揺らいでいる量子構造中を伝搬する様子を捕らえることに成功した。
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