研究課題/領域番号 |
09305025
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
石原 宏 東京工業大学, フロンティア創造共同研究センター, 教授 (60016657)
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研究分担者 |
山本 修一郎 東京工業大学, フロンティア創造共同研究センター, 助手 (50313375)
會澤 康治 東京工業大学, 精密工学研究所, 助手 (40222450)
徳光 永輔 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教授 (10197882)
大見 俊一郎 東京工業大学, 精密工学研究所, 助手 (30282859)
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キーワード | 強誘電体 / メモリ / SOI / シリコン |
研究概要 |
本年度は、単一トランジスタセル型強誘電体メモリの基本構成要素であるMFSFET(金属-強誘電体-半導体電界効果トランジスタ)の特性について主に評価した。まず、単純なMFS構造ではデータの保持時間が短くなることを明らかにし、強誘電体膜とSi基板との間に挿入するバッファ層について検討した。バッファ層としてY_2O_3を用いる場合には、高温で強誘電体膜と反応して、Y_2O_3膜質が劣化する可能性のあることを指摘し、強誘電体膜として低温形成が可能で、かつ残留分極値が比較的小さいPLZT((Pb,La)(Zr,Ti)O_3)を用いることを検討した。しかし、バッファ層の面積と強誘電体膜の面積が等しい場合には、大部分の電圧が比誘電率の低いY_2O_3に加わることが明かとなり、電圧の配分比を変えるために両者の面積比の最適化を行なった。その結果、面積比が15:1の場合にはPLZT膜に大きな電圧が加わり、良好なヒステリシス特性が得られた。 次にバッファ層として、SrTa_2O_6/SiON2層構造を用いる場合について検討した。SiON層はSrTa_2O_6膜を形成する際にSi基板表面が酸化されるのを防止するために用いた。強誘電体膜としてはSBT(SrBi_2Ta_2O_9)を用い、今年度は特に低電圧動作に重点を置いてデバイス設計を行なった。その結果面積比を10以上と大きくすると、±3.5Vの動作電圧において3桁以上の電流オンオフ比が10時間以上にわたって保たれることが明らかとなった。 この他、凸凹基板上への強誘電体膜の堆積を念頭において、溶液気化MOCVD(有機金属気相成長)法を用いてSBT膜を形成する方法について検討した。用いた原料は、トリフェニールBiとSrとTaを1:2の原子比で含むダブルアルコラートである。実験より、膜中に含まれるSr原子とTa原子の比率は成膜温度が400℃以下の場合には1:2に近いが、成膜温度が高くなると、Sr原子が膜中に取り込まれなくなることが明らかとなった。また低温で形成した膜を750℃程度の温度でアニールすることにより残留分極3.5μC/cm^2の強誘電性を示す膜が得られることが明らかとなった。
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