研究概要 |
本年度は,ATM網上でのマルチメディアネットワーキング技術確立のために以下の研究を行なった。 1 複数ユーザの要求品質を同時に満たす効果的な動画像符合化手法 ネットワーク資源を有効利用しながら複数のユーザの要求する動画像品質を同時に満たすため,階層型MPEG-2動画像符合化手法に着目し,従来よりも柔軟性の高い階層符合化手法を提案した。 2 効率的な動画像マルチキャストプロトコル 階層符合化された動画像を,それぞれ異なる品質の動画像を要求する複数ユーザに効率よく転送するためのマルチキャスト通信制御を提案した。提案方式では,大規模ネットワーク内で個々のユーザのおかれるネットワーク環境はさまざまに異なることを考慮し,それぞれのユーザの利用可能な帯域に応じて送出する動画像を決定する、提案方式を用いることにより,サーバ複数クライアント間で高品質かつ効率のよい動画像転送が可能となる。3 複数ユーザ間での公平な帯域分配法 平成9年度の研究により,実時間動画像転送のためには固定的に帯域を割り当てるネットワークサービスが適していることが明らかになったが,特定ユーザによる帯域占有を防ぐためには何らかの帯域分配法が必要になる。そこで,複数ユーザ間で限りのあるネットワーク資源を公平に分配するために,課金構造の概念に基づくユーザ効用を考慮した資源割当制御手法を提案した。 4 実ネットワーク上のトラヒツク分析 実際に運用されているネットワーク上を流れるトラヒックを観測し,アプリケーションごとのトラヒック特性を分析することにより,実ネットワークにおけるマルチメディアトラヒックの振る舞いを明らかにした。
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