可積分系の理論をもとにした非線形光学現象および超高速光ファイバ伝送の研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09305029
• 研究種目: 基盤研究(A)
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 児玉 裕治 大阪大学, 工学部, 教授 (50161948)
• 研究分担者: 丸田 章博 大阪大学, 工学部, 助手 (40252613) ; 戸田 裕之 大阪大学, 工学部, 助手 (00202200) ; 松本 正行 大阪大学, 工学部, 助教授 (10181786) ; 長谷川 晃 大阪大学, 工学部, 教授 (60240834)
• キーワード: 可積分系 / 光通信 / 非線形光学 / ソリトン

研究概要

1.周期的に分散補償を施した伝送路における分散マネージドソリトンの伝送特性について次の研究成果を得た。
(1)ファイバの分散値の差が比較的小さい場合には、伝搬するパルスの特性はガイディングセンターソリトン理論で記述できることを明らかにした。これによりパルス間相互作用の低減効果を説明し、さらに波長分割多重伝送路の最適設計を行った。
(2)ファイバの分散値の差が比較的大きい場合には、ラグランジュの変分法によって、伝搬する定常パルスの特性が求められることを示した。また、ゴ-ドン・ハウスジッタの低減効果を説明し、波長分割多重伝送路の最適設計を行った。さらに、平均分散が正常分散となる場合にもブライトパルスが伝搬しうることを示した。
(3)増幅器間の分散値および損失値にばらつきのある既設伝送路に対する分散補償の有効性を示した。
2.くし形分散配置ファイバを用いて10Gbit/sソリトン周回伝送実験を行い、分散距離の約2倍である増幅器間隔80kmで、ビット誤り率10^<-9>以下で2,000km伝送させた。
3.波長分割多重ソリトン伝送を行う場合、スライディング周波数制御を用いても、全チャネルの伝送特性を最適化するためには、ファイバ増幅器の利得の波長依存性を等化する必要があることを明らかにした。
4.マッハ-ツェンダー変調器を用いたソリトン光源の出力パルスの解析を行い、非ソリトン成分が0.2%以下の良質の、ソリトンパルスが得られることを明らかにした。
5.櫛形分散配置ファイバ(CDPF)を用いたピコ秒ソリトン光源について、数値シミュレーションでCDPFの最適設計を行い、実験で自己相関幅3.7ps、繰り返し周波数86.8GHzのソリトンパルス列を得た。
6.ピコ秒ソリトン伝送において、ファイバの高次分散効果の影響は分散スロープ補償ファイバを用いた伝送制御が、自己誘導ラマン効果の影響は狭帯域光フィルタによる伝送制御が有効であることを示した。

研究成果

• [文献書誌] S.Kumar, Y.Kodama, A.Hasegawa: "Optimal Dispersion Management Schemes for WDA soliton systems" Electron.Lett.33. 459-461 (1997)
• [文献書誌] Y.Kodama, and A.Maruta: "An Optimal Design of Dispersion Managements for a Soliton-WDM System" Opt.Lett. 22. 1692-1694 (1997)
• [文献書誌] T.Okamawari, Y.Ueda, A.Maruta, Y.Kodama, A.Hasegawa: "Interaction between Guiding Center Solitons in a Periodically Disperstion Compensated Optical Transmission Line" Electron.Lett. 33. 1063-1065 (1997)
• [文献書誌] H.Sugahara, H.Kato Y.Kodama: "Maximum Reductions of Collision Induced Frequency Shift in soliton-WDM systems with Dispersion Compensation" Electron.Lett.1065-1066 (1997)
• [文献書誌] Y.Kodama, A.V.Mikhailov and S.Wabnitz: "Input pulse optimization in wavelength-dirision-multuiplexed soliton transmissions" Opt.Comm.143. 53-56 (1997)
• [文献書誌] A.Hasegawa, Y.Kodama and A.Maruta: "Recent Progress in Dispersion Managed Soliton Transmission Technologies" Optical Fiber Technology. 3. 197-213 (1997)
• [文献書誌] Y.Kodama, S.Kumar and A.Maruta: "Chirped Nonlinear Pulse Propagation in a Dispersion Compensated System" Opt.Lett.22. 1689-1691 (1997)
• [文献書誌] H.Toda, Y.Furukawa, T.Kinoshita, Y.Kodama and A.Hasegawa: "Optical soliton transmission experient in a comp-like dispersion profiled fiber loop" IEEE Photon.Tech.Lett.9. 1415-1417 (1997)
• [文献書誌] Y.Kodama: "Nonlinear Pulse Propagation in Dispersion Managed system" Physics D. (発表予定). (1998)
• [文献書誌] Y.Kodama: "Nonlinear Chirped Pulse in a Dispersion Compensated System" IEICE. (発表予定). (1998)
• [文献書誌] T.Okamawari, A.Maruta and Y.Kodama: "Reduction of Gordon-Hsus jitter in a dispersion compensated optical transmtission system" Opt.Comm.(発表予定). (1998)
• [文献書誌] T.Okamawari, A.Maruta and Y.Kodama: "Analysis of Gordon-Haus jitter in a dispersion compensated optical transmission system" Opt.Lett.(発表予定). (1998)
• [文献書誌] 児玉裕治, 丸田章博: "超高速長距離光通信の現状と将来" システム情報制御学会誌. 41. 188-193 (1997)