研究課題/領域番号 |
09305034
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
虫明 功臣 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (50011060)
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研究分担者 |
砂田 憲吾 山梨大学, 工学部, 教授 (20020480)
三枝 健二 日本大学, 理工学部, 講師 (50196028)
長谷部 望 日本大学, 理工学部, 教授 (30013121)
仲江川 敏之 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (20282600)
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キーワード | マイクロ波 / リモートセンシング / 土壌水分量 / 地表面粗度 / 理論モデル / 粗度因子 |
研究概要 |
本年度は第二年度であり、昨年度の研究結果を踏まえて、水田での散乱実験、並びに衛星データ解析、地表面粗度逆推定アルゴリズム開発を行った。 4月から10月にかけての農耕期、水田においてCバンドでマイクロ波散乱実験を定期的に行った。 この時期、水田は裸地、水面、植生と状態を変え、後方散乱は複雑に変化した。 農耕期の水田では、裸地状態の期間は短く、土壌水分のレンジが狭く、後方散乱係数と土壌水分量の明瞭な関係は見られなかった。稲が成長し、植生高さが20cmを越えると、土壌水分、植生高さ、葉面積指数の値に対して、HH、HV、VVいずれの偏波でも、良い相関は見られなかった。このことから、Cバンドの多偏波観測だけでは、植生下の土壌水分を測定することは難しいこと、多波長での多偏波観測も必要であることを明らかにした。 熱帯降雨観測衛星の降雨レーダ(TRMM-PR)は0°〜17°と多入射観測が可能であり、土壌水分計測への基礎的検討を行った。 土地被覆毎に入射角依存性は異なっており、理論モデルと比較しても、良好な再現性が得られた。上記の入射角レンジではフレネルの反射係数は高々2%程度しか変化しないので、地表面が同一状態であれば、入射角依存性は地表面粗度の影響とみなせることを示した。このことに基づき、簡単な地表面粗度推定アルゴリズムを開発した。 地表面粗度の逆推定アルゴリズムについては、従来の古典モデルから、最新の積分方程式モデル(IEM)を用いて行ったが、IEMでも、二つの地表面パラメータを推定する必要のない粗度因子の考え方が有効であることを明らかにした。また、精度向上の観点から、多数回平均値の粗度因子の方が好ましいことを明らかにした。
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