研究概要 |
本年度は、97年度から本年度までに各機関で分担して調査した各指図所蔵機関の指図の、採取書誌データシート、デジタル・銀塩写真データを持ち寄り、情報の報告・交換を行い、その結果に基づき、研究の最終年度でもあるため報告書についての検討を行った。 具体的には、8月7日〜9日に東京国立文化財研究所で打ち合わせ会議を開き、それまでの調査結果を互いに報告し、今後必要な補充調査や報告書の内容・目次・執筆の分担等を決定した。その際、長崎県島原市本光寺の島原藩関係指図については、貼絵図の残存数が多く、複数の調査員による調査が必要との見解に達したため、8月21日〜23日に後藤・伊東が共同で調査を行なった。調査には、古文書修補の専門的知識・技術を有する宮内庁書陵部図書課の吉野敏武修補係長にも参加頂き、紙質や修補技術について指導を仰いだ。2001年1月30〜31日には、再び東京国立文化財研究所で打ち合わせ会議をもち、全員の書誌・写真データを1つに集約して全員に再配布することで、当調査におけるすべてのデータを共有化した。合わせて報告書について改めて検討したが、データ量が膨大で分析にも時間を要するとの判断から、成果報告書の提出を1年後に延期する申請をせざるを得ないことを確認した。ただし、今回の調査・研究で実施したアンケート結果に基づく指図の伝存状況の概要については、「近世諸藩の建築指図の所在調査報告(概要)」(宮城学院女子大学生活環境科学研究所研究報告」33巻2001年3月発行予定)として公表される予定である。また調査結果の分析にあたり、その効率化を図るために主要な指図について紙焼き写真600点を作成し、各分担者に配布した。 補充調査としては、本光寺以外に前田育徳会尊経閣文庫,東洋文庫、世田谷区立郷土資料館,東大史料編纂所・高山郷土館・長岡市立中央図書館・藤枝市郷土博物館・静岡県立中央図書館・岐阜県立歴史資料館・彦根市立図書館について実施した。
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