新高温軽量耐熱材料として期待されるTiAlの更なる高温強度の改善を、Ll_0型規則相中に出現する長周期規則相により図ると共に、Ll_0型母相中を運動する転位と長周期規則相との相互作用、形成される面欠陥エネルギーを計算することにより、その変形機構を明らかにした。γ-TiAlのAl高濃度側には、Ll_0型規則構造を形成するAl_5Ti_3相、さらに高Al濃度側にr-Al_2Ti、h-Al_2Ti長周期規則相が形成されることが明らかとなった。このAl_5Ti_3相は母相のγ相と極めて整合な界面を形成し、しかも高温まで熱的に安定であり、その合金濃度、熱処理条件を選択すれば、ナノオーダーに均一・微細に分散する。 この_5Ti_3相中に、Ll_0型格子中を運動する1/2〈110〉普通転位が侵入すると、新たな逆位相境界を形成し、これが大きい転位の運動抵抗を与え、高温強度改善につながる。またr-Al_2Ti、h-Al_2Tiにおいても、その原子積層の違いはあるが、同様に多種の逆位相境界を形成する。普通転位、超格子転位共に、この析出相中で逆位相境界を形成するが、前者の転位が形成する面欠陥エネルギーが大きいことが、このような高Al濃度合金において、普通転位から超格子転位の運動へと変形モードが変化する原因であることが明らかとなった。また、このような合金の疲労特性についても調べ、低温での疲労強度は、その変形能の欠除のため、亀裂伝播速度が速く、疲労強度改善には必ずしもつながらないが、高温疲労特性は著しく改善された。
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