研究概要 |
イオン照射と超高真空中での圧接機能を備えた接合装置を開発し,平行性に優れ,酸化や汚染のない面から構成される拡散対を用いて,接合面を通しての拡散と界面構造に及ぼす接合界面の汚染の影響を分析電子顕微鏡を用いて調べ,低温における拡散接合対の新しい作製法を検討した.NiとL1_2型金属間化合物Ni_3Alの真空蒸着接合対における界面構造変化と拡散現象を,界面の性格,粒界,転位の役割など組織と関連づけて透過型電子顕微鏡により解析し,界面の清浄度が高く,外部ひずみのない状態で接合拡散させることにより移動するNi/Ni_3Al(L1_2)界面はすべての拡散温度で整合に保たれることを6カ月間の真空中長時間焼鈍実験により明らかにした.また,界面構造が界面方位に強く依存し,界面転位の導入による界面ミスフィットの開放率は,作用するせん断応力の大きさと導入される転位のひずみの解放効率により異なり,後者がより重要な因子として作用していることが知られた.さらに,B2型金属間化合物のNiAlとのNiとの反応拡散対における異相界面の移動方向はNiAl相の組成に依存すること,反応により形成されるL1_2相の結晶格子はNi相と整合であり,この方法を利用することにより,溶解法では不可能な単結晶のL1_2-Ni_3Alを作製できることを示した.ECAP(Equal Channel Angular Pressing)法により作製した超微細粒アルミニウムとAl-Mg合金の接合拡散対を用い,微細粒組織を有する金属中の拡散挙動を解析し,低温拡散における結晶粒界拡散の寄与を検討した.
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