研究概要 |
イオンビームにより接合表面をスパッタし,超高真空中において圧接する接合法(表面活性化接合法)を用いて,酸化や汚染のない面から構成させるNi系,A1系合金の拡散対を作製した. まず,表面活性化接合法により作製したNi(γ相)とLi_2型金属間化合物Ni_3Al(γ'相)の拡散対における成長γ相の形態を調べ,接合界面をスパッタしない接合法の結果と比較し,相成長挙動に及ぼす接合表面クリーニングの影響について考察した。表面活性化接合法で作製した拡散対では,拡散熱処理によりγ'相側に成長するγ相の界面は接合界面に対して平滑になった.また,成長するγ相はγ相と同じ方位をもっていること,つまりエピタキシャル成長していることがわかった.これらの結果は表面スパッタ処理を施していない拡散対では確認されていないことから,移動するγ/γ'異相界面の形態および結晶方位関係には接合界面のクリーニングが関係すると考えられる.また,ECAP(Equal-Channel Angular Pressing)法により作製した超微細粒アルミニウムとAl-Mg合金の接合拡散対を用い,微細粒組織を有する金属中の拡散挙動を解析し,低温拡散対における結晶粒界拡散の寄与を検討した.Al合金の接合において表面を覆っている酸化膜が問題となるが,表面活性化接合法により250℃程度の温度で接合ができ,電子顕微鏡により界面観察を行ったところ酸化物や介在物もなく,比較的きれいな界面で接合していることがわかった.微細粒Al合金中におけるMgの相互拡散係数は粗大粒のものに比べて,大きくなっており,その差は特に低温度において顕著になる.また,微細粒材の活性化エネルギーは粗大粒材のおよそ3分の2と見積もられたことから,微細粒材では粒界拡散の寄与が大きいことがわかった.
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