研究課題/領域番号 |
09305052
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
粟倉 泰弘 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70109015)
|
研究分担者 |
田中 功 京都大学, 大学院・エネルギー科学研究科, 助教授 (70183861)
松原 英一郎 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (90173864)
平藤 哲司 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70208833)
林 好一 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20283632)
邑瀬 邦明 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30283633)
|
キーワード | 合金電析 / ラマンスペクトル / 因子分析法 / ポリモリブデン酸 / 誘起共析 / Ni-Mo合金 / 平衡定数 / 錯体生成 |
研究概要 |
本研究では6族および5族元素を対象に、水溶液中での金属イオンの錯体構造と電析機構の関係について検討することを目的としている。本年度は、特にNi-Mo合金電析浴のラマンスペクトルを因子分析法によって解析し、Mo(VI)化学種およびNi(II)化学種の溶存状態と電析挙動の相関について考察した。 pH5のMo(VI)単味浴、Mo(VI)-クエン酸浴のラマンスペクトルから、Mo(VI)単味浴へのクエン酸添加によりポリモリブデン酸が分解し、まずMo(VI)/クエン酸比が2:1の錯体、ついで1:1の錯体が生成することを明らかにし、その平衡定数を最適化した。また、Ni(II)-Mo(VI)浴の吸光スペクトルからNI(II)とMo(VI)からなるヘテロポリモリブデン酸の生成定数を算出した。これらの平衡定数および昨年度までに吸光スペクトル因子分析により最適化したNi(II)-クエン酸錯体の平衡定数を用い、Ni-Mo合金電析浴中の化学種の算出したところ、良好なNi-Mo合金が電析するクエン酸濃度ではNi(II)種およびMo(VI)種がともにクエン酸1:1錯体を形成していることが明らかとなった。一方、単体Niが電析しやすいNi(II)-クエン酸浴中のNi(II)化学種も同じ1:1錯体であることから、Ni-Mo合金の誘起共析はNiの電析が必要条件であり、これによりMoの還元が促進されていることを明らかにした。さらに、これまで得られた平衡定数を用いて新たなNi-Mo合金電析浴を探索したところ、Mo(VI)濃度に対してNi(II)濃度を1/20まで減らしても、従来浴とほぼ同一組成のNi-Mo合金めっき膜が得られることがわかった。
|