研究課題/領域番号 |
09305054
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
八嶋 建明 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60016409)
|
研究分担者 |
小松 隆之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (40186797)
小國 正晴 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50144423)
|
キーワード | ゼオライト / 触媒 / ベックマン転位 / シクロヘキサノンオキシム / シリカライト / ヘプタン / 異性化 / 白金 |
研究概要 |
固体触媒を用いたシクロヘキサノンオキシムの気相ベックマン転位反応においては、固体であるシクロへキサノンオキシムを連続的に気化させて供給するため、溶媒を用いる必要がある。触媒としてε-カプロラクタム選択性が高いシリカライト-1を用い、この溶媒の効果について検討した。極性の異なる各種有機溶媒を用いた結果、極性の低いベンゼン、シクロヘキサンなど、および極性が高いアセトン、アセトニトリルなどと比べ、中程度の極性をもつエタノールおよびメタノールを溶媒とした場合、最も高いε-カプロラクタム生成速度が得られた。このような溶媒の効果を明らかにするため、速度論的検討を行った。ε-カプロラクタムの生成速度とシクロへキサノンオキシムの分圧との関係を調べ、生成速度がラングミュアー型の速度式で表せることを明らかにした。この速度式は、ε-カプロラクタム吸着種が溶媒分子により活性点上から追い出される過程を律速段階とする反応スキームにより、説明することができた。各種溶媒を用いた実験結果をこの速度式に当てはめ、反応速度定数および吸着平衡定数に対応する値を求めた。その結果、溶媒の極性が低いとε-カプロラクタムを脱離させる能力が低いため生成速度が遅く、逆に極性が高すぎると反応物であるシクロへキサノンオキシムの活性点への吸着を溶媒分子が阻害し、シクロヘキサノンオキシム吸着種濃度が低下するため生成速度が遅くなることが明かとなった。 ヘプタンの異性化に対し、白金を担持した各種ゼオライトの触媒性能を比較検討した。その結果、Pt-βゼオライトが最も高い異性化選択性を示し、反応温度220℃において78時間以上触媒活性が安定していることを見出した。担持したPt濃度が高いほど、またゼオライト中のAl濃度が低いほど、異性化に対する選択性が高くなることが明かとなった。
|